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2023.01.19 税務ニュース
入り乱れる用語 どうにも税金にまつわる用語には、似た用語が多く分かり難いです。試しに、消費税制について、正確性に全振りして分かり易さを完全放棄した文章で説明してみます。読み難すぎて、むしろ面白い文章になりました。 「令和5年10月1日よりインボイス制度がスタートします。これ以後、売り手である適格請求書発行事業者には適格請求書の発行義務が法律に規定され、買い手は適格請求書等を保存しなければ仕入税額控除が出来なくなります。仕入税額控除は、従来、請求書等保存方式が採用されていたところ、軽減税率の導入により区分記載請求書等保存方式へと変更され、インボイス制度開始以後は、適格請求書等保存方式となります。」 この、知っている人にしか通じない文章の中に、請求書という言葉が4種類登場しています。そして、面倒なことに4種類とも少しずつ意味が違います。現実問題としては、用語が多少交錯していてもやるべきことだけ押さえておけば困ることはないです。とは言え、よく分からない単語を使い続けるのも気持ちの良いものでもないので、今回はインボイス制度にまつわる用語を整理し、何故巷をこれだけ大騒ぎさせているのか改めて...
2023.01.17 税務ニュース
本コラムでは、 NFTアートと税金の関係について、やさしく解説します。第1回では、NFTの概要と確定申告の際の基本的な考え方を整理します。 なお、NFTについては、国税庁から必ずしも明確な見解が出ているわけではありません。そのため、筆者の私見を交えて解説しています。 そもそも「NFT」ってなんだろう? NFTはブロックチェーン上で発行されるトークン(Token)の一種です。トークンにはもともと「しるし」「象徴」という意味がありますが、ここではブロックチェーン技術を利用して発行された仮想通貨や認証のことを指します。 NFTは「Non-Fungible-Token(非代替性トークン)」の略であり、コピーが容易なデジタルデータに対して、その「非代替性(唯一性)」を担保するテクノロジーをいいます。イメージしやすい表現にするならば、「唯一性を保証する証明書付きのデジタルデータ」といえるでしょう。NFTはコピーそのものを防ぐ技術ではありませんが、デジタルデータにNFTが紐づいているかで、それがコピーであるか識別することができます。 ここで、「非代替性」という難しい言葉がでてきましたが...
2023.01.15 税務ニュース
2022年は円安と物価高に苦しめられた1年でした。2023年1月現在、円安は落ち着いてきたものの原油などの価格は高く、物価高は収束しそうにありません。こんなときは税務でも対策を講じておきたいものです。今回、中小事業主の資金繰りが少しでも軽くなる方法をいくつかピックアップしてご紹介します。 青色欠損金の繰戻し還付(法人・個人) 青色申告をしている事業主なら、青色申告の欠損金による繰戻還付を検討してみるといいでしょう。青色欠損金は、生じた赤字を繰り越して翌事業年度以降に生じた黒字と相殺する「青色欠損金の繰越控除」で知られています。しかし青色欠損金は未来の黒字だけでなく、過去の黒字とも相殺できます。 繰戻還付とは何か 繰戻還付とは、今期生じた赤字を前期に繰り戻し、前期分の黒字と相殺することを言います。相殺すれば前期分の黒字つまり利益が縮小します。そのため、前期分の法人税や地方法人税も減るのです。 この結果「すでに納めた税額が本来納めるべき税額よりも多くなる」という現象が生じます。還付請求を行えば、多く納め過ぎた分が戻ります。これが繰戻還付です。 この繰戻還付ができるのは、青色...
2023.01.12 税務ニュース
まもなく令和4年分の確定申告がスタートします。昨年までは確定申告をしていなくても、今年は確定申告をするべき、もしくは確定申告をしたほうがいいケースがあります。あるいは確定申告をしていたとしても、昨年までとは違った計算手続を含めなければならない場合も考えられます。そんな中でも特に留意すべき点のうち主なものをピックアップして解説します。 年間の給与収入が2,000万円を超える 1. 年末調整ができず、確定申告をしなければならない お勤めの方で年収2,000万円を超えると、勤め先で年末調整ができず、本人が確定申告しなければなりません。通常、他に所得がなければ確定申告により源泉徴収された税金が還付される場合がほとんどです。注意が必要なのは、令和2年分から「所得金額調整控除」という計算手続ができたことです。現役世代では「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」が関係しますが、要件に合う場合には、下記の計算式に基づいて調整控除額を求め、給与所得から差し引きましょう。 <所得金額調整控除の要件> 次のいずれかに当てはまる場合 本人が特別障害者 年齢23歳未満の扶養親族...
2023.01.01 税務ニュース
年明け、還付申告を予定している人は多いでしょう。「申告は2月16日以降」と思っているかもしれません。実は、還付申告は年明け1月1日からできます。申告できる期間も長いのが特徴的ですが、うっかりすると損をすることも。今回は、還付申告の内容と注意点をお伝えします。 還付申告とは何か 還付申告とは、源泉徴収や予定納税で納め過ぎた税金の一部を還付してもらうための確定申告をいいます。 「国民自らが所得と税額を申告し、納税をする」というのが、日本の税金の原則です(申告納税制度)。しかし本当に国民全員が自ら申告すると、税務署の作業が膨大になり、徴税コストがかさみます。また、一度に多額の納税は、納税者自身にも負担です。 そこで、給与や年金、報酬などの支払から所得税を天引きしたり(源泉徴収)、ある程度所得のある人は税金の一部を前払いしてもらったり(予定納税)しています。ただし、先払いした所得税が本来かかるべき税額よりも多くなることがあります。確定申告をすれば、この払い過ぎた所得税が一部戻ってくるのです。 還付申告をできる人 還付申告できるのは「納め過ぎた所得税のある人」です。つ...
2022.12.21 おんすけと学ぶ税務情報
フリーランス・クリエイターが知っておきたいお金と税金のしくみ 本コラムでは、これから独立しようと考えている駆け出しクリエイターが知っておきたいお金と税金のしくみを、独立前・開業準備・開業1年後などのステップごとに、やさしく解説します。 フリーランス・クリエイターとして独立開業すると、「経費」について考えることが多くなります。第2回では、「開業準備〜開業後」にスポットを当てて、経費の考え方の「キホン」について、やさしく解説します。 なぜフリーランス・クリエイターは経費で悩むのか? 「これは経費になる?」というのは、個人事業主・フリーランス特有の悩みです。 サラリーマンやアルバイトなどで働いていたときは、自分の立替経費以外は、経費について計算したり考えたりしなかったと思います。 なぜ「経費になるか」が重要なのでしょうか? それは、経費が多いほど所得の額が小さくなり、納める税金が少なく済むためです。 第1回でも解説したとおり、個人事業主・フリーランスは「自己の計算と危険」において「独立性」をもって業務を行い、仕事の「成果」でお金を...
2022.11.28 税務ニュース
【前編】では、信託の定義と信託を家族で運用する「家族信託」のキホンについてご案内しました。今回は家族信託の具体的な活用例のうち主なものをご紹介します。 不動産の家族信託 近年における相続税の申告事績の概要をみると、相続財産の金額構成比としては不動産(土地・家屋)が約40%と最も高い割合を示しています(令和2年分 国税庁報道発表資料)。ちなみに平成23年分は約52%でした。地価の下落により土地部分の割合が減少しているとはいえ、不動産の構成比は依然高いままです。したがって国内の相続問題を考えるうえでは、やはり所有する不動産の処分や承継などについて無視できないといえます。 1. 不動産の処分・価値の維持 所有不動産を処分する目的として、主に生活資金の確保、金融商品の購入・運用、新しい物件の確保(建て替え・買い換え・大規模修繕など)が考えられます。物件の売却・リフォームには契約の締結が必要とされますが、所有者の意思・判断能力が著しく低下した状況による契約は、法律上無効となるため売買取引が成立しません。しかし家族信託を活用すれば、信託契約による受託者が受益者のために信託された不動産の売却...
2022.11.22 税務ニュース
年末調整で扱う所得控除は数が多く、全部で12あります。今回は、この12の所得控除の内容や条件を確認しましょう。 社会保険料控除 社会保険料を支払ったときの所得控除です。控除できる金額は、その年に支払った金額すべてです。控除額は、本人が年間に支払った全額です。なお、生計同一配偶者や扶養親族など家族が本来負担すべきものも、扶養する本人が支払ったのなら控除できます。 小規模企業共済等掛金控除 iDeCoや企業版DCの掛金、会社役員などが加入する小規模企業共済の掛金などを支払ったときの所得控除です。その年に支払った金額すべてを控除できます。ただし、社会保険料と違い、本人分しか控除できません。妻の分を実質的に負担したとしても控除できません。 生命保険料控除 生命保険料、介護医療保険料または個人年金保険料を支払った人に適用される所得控除です。 控除額 控除額は、その年に支払った金額をベースに計算します。ただ、社会保険料や小規模企業共済等掛金控除と違い、支払額すべてが差し引けるわけではありません。上限額があります。 【引用元】No.1140 生命保険料控除(国税庁) また...
2022.11.14 税務ニュース
必要経費って何? 所得税の標的となる所得を計算するにあたり、配達報酬などの売上は所得を増加させ、必要経費は所得を減少させます。従って、必要経費が多いほど税金の負担は小さくなるため、納税者としては、必要経費をなるべく大きくしたいところです。しかし、何でも必要経費に算入されると税収がゼロになってしまうため、必要経費には一定のルールがあり、お金を払ったからといって闇雲に必要経費には出来ません。 フードデリバリー配達員などの個人事業主には、プライベート関連と業務関連の2種類の支出があります。これらのうち必要経費となるものは、業務関連の支出のみです。保温バックなどの配達用品や、配達に関わる交通費、駐車料金は、当然必要経費となります。他方、「事業に関わる支出は何でも必要経費になる」という噂話がありますが、必要経費のルールはそこまで緩くはありません。 事業に関わるってどういうこと? 実のところ、現状「事業と関わりがあるか否か」についての明確な基準を示すことは出来ません。その様な現状であっても、次の様に整理することは出来そうです。 必要経費になるもの それが無いと売上を得られない支出 ...
2022.10.25 税務ニュース
中小企業は日本の企業数の約99%、従業員数の約69%を占めており、地域経済を支える基盤として重要な役割を担っています「(出典)中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)」。一方で、中小企業の経営者のうち65歳以上の経営者が全体の4割を占め、中小企業の経営者の引退年齢が67歳~70歳と言われていることを鑑みると、今後5年から10年で中小企業の約半数が世代交代の時期に差し掛かるとみられています。日本経済の基盤である中小企業がこれまで培ってきた経営資源を次世代に承継していくことは喫緊の課題であり、事業承継は社会的な問題といえます。 1. 事業承継とは 事業承継とは文字通り「事業」そのものを「承継」する取組であり、会社の経営権を後継者に引き継ぐことです。事業承継で引き継ぐものとしては、「人」「資産」「知的資産」の三つの要素があります。「人」とは経営にあたる後継者を指し、「資産」とは自社の株式、事業用資産、資金等、「知的資産」とは目に見えない(形がない)資産で、経営理念、人脈や顧客との信頼関係、チームワークや組織力、ブランドや人材力などがそれにあたります。 出典:中...
2022.10.20 税務ニュース
ポイントをもらったり使ったりした場合、税金がかかるのでしょうか? 本コラムでは、企業ポイントと税金の関係について、やさしく解説します。 ポイントと税金の関係は「値引き」かどうかで判断 近年の電力不足問題の深刻化を受けて「節電ポイント」の導入が進められています。 電力需要の逼迫が懸念されるため、各家庭に節電を促すのが目的です。電力会社が開催する節電キャンペーンや省エネプログラムに参加し、その内容に応じて節電ポイントが付与されます。 政府が実施する「ポイント政策」は、ほかにマイナポイントや消費税の増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元などが記憶に新しいところです。 この「ポイント」には税金がかかるのでしょうか? その判断の要点は「値引き」かどうかです。 この点について、国税庁は、個人が商品を購入するときに付与されるポイントで、「通常の商取引における値引き」と同様の行為が行われたものと考えられる場合には、所得税の課税対象にならないものとして取り扱うと説明しています。 マイナポイントや節電ポイントは「通常の商取引における値引き」とは同視できないため、課税対象になるのです。 ...
2022.10.18 起業応援・創業ガイド
法人設立して事業が開始したら従業員に給与を払ったり、専門家に報酬を支払ったりすることになります。この時に必ず知っておくべき手続きに、「源泉徴収」があります。 源泉徴収の手続きは、個人事業の方も一定の場合に必要となりますが、今回は、法人が源泉徴収を行う場合に限定して、その手続きや流れ、注意点をまとめています。 源泉徴収制度とは? 源泉徴収制度とは、給与や報酬を支払う事業者(法人)が給与や報酬を支払う際に、所得税を差し引いて、給与や報酬を支払う事業者(法人)が代わりに国に納付をする制度です。 源泉徴収の対象は? 源泉徴収の対象は、支払先が「個人」の場合と「法人」の場合で異なります。 たとえば以下の場合などで源泉徴収が必要となります。 法人が個人のライターさんに原稿料を支払った場合 大学教授に講演会を御願いした場合 個人に対して支払う場合の源泉徴収の対象 源泉徴収の対象となるものは、下記の通りです。 給与所得 原稿料や講演料 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 プ...
2022.10.11 税務ニュース
NPO法人に対して法人税がどのように課税されるのかは誤解も多く、分かりにくい部分です。例えば、一切課税されない、利益が出る事業に対しては課税されるといったような誤った認識を見聞きすることも少なくありません。そのため、本来は確定申告が必要であるにも関わらず申告をしていなかった例や、法人税が課税されない事業も含めて申告をしていたという例もあります。 今回は、NPO法人に対しての課税の仕組みについて解説します。 NPO法人への課税の考え方 NPO法人の法人税の納税義務は株式会社などの普通法人と異なり、法人税法上の収益事業に対してのみ課税されます。収益事業とは、①限定列挙された34業種であること、②継続して行われるものであること、③事業場を設けて行われるものであること、の3つの要件を満たすものです。つまり、34業種に該当する収益があったとしても、それが単発のイベント等であり継続しないものであれば収益事業には該当しないということです。 この背景にあるのは、イコールフッティング論といわれるものであり、これは営利法人と競合する事業については競争条件の公平等を図るべきという考え方です。その...
2022.10.07 税務ニュース
前回に引き続き、今回も農家が被災したときの税金対策をお伝えします。今回は「納める税金を抑える方法」です。 事業での救済策①事業用資産に被災したときの損失計上と繰越・繰戻 農機具や農作物が被災し、損害が生じたら、損失部分は必要経費に計上できます。他の所得と損益通算をしても残る赤字は、翌年以後に繰り越したりできます。 ■計上する損失額 災害によって生じた事業用資産や棚卸資産の損失金額です。具体的には次のようなものとなります。 ■滅失した農機具などの固定資産 災害で滅失した日時点で「仮に譲渡したら」を前提として計算した取得費 ■収穫した稲や野菜、果実などの棚卸資産 被災して廃棄するしかなくなったもの…被災直前に「もしも出荷していたら」を前提に計算した金額。毎年の棚卸で用いている方法で評価して計算する(総平均法、先入先出法など) 売れるけど価値が下がったもの…「1の出荷前提で計算した金額-被災直後の農作物の評価額」 ■未収穫の農作物 「農作物の種苗費、肥料代、人件費その他経費などの合計額-収穫できたときの農作物の価額の合計額」 ■土砂などの障害物の除去費用 ...
2022.09.27 税務ニュース
はじめに 配達員をされている方には、親や配偶者などの扶養から外れない様に調整しつつ稼働されているケースがあります。パートやアルバイトであれば、いわゆる「103万円の壁」という言葉が浸透しているお陰で、103万円まで稼いで良いと知っている訳ですが、配達員の場合、「103万円とはどの金額なのか」「そもそも配達員でも103万円は関係あるのか」という疑問が生じてきます。このため、「扶養から外れたくないが配達報酬はいくらまで上げて良いのか」という相談を受けることがあります。 そこで、本稿では、これらの疑問を解決し、扶養の範囲内とはいくらの売上高なのかを探って行きたいと思います。なお、説明を複雑にしないため、配達員は70歳未満で配達報酬以外の収入はないものとして進めて行きます。 そもそも103万円の壁って何? まず、103万円の壁の成り立ちを説明します。 所得税に関して扶養に入るということは、生計をメインで支える親や配偶者などが扶養控除や配偶者控除の適用を受けること意味します。そして、これら適用を受けるには、扶養される側の所得が48万円以下でなければなりません。 ここで、所得は「収入-...
2022.09.14 農家おすすめ情報
8月から9月にかけて台風や大雨といった災害が増えます。被災すると農業へのダメージは計り知れません。税負担を軽くする方法はあるのでしょうか。農家の方に向けて災害時の税金を解説します。 災害で申告や納税が遅れるとペナルティが生じる 大雨や台風で被災すると大変です。家財や事業用財産に損害が出るだけではありません。後片づけも必要になります。当然、資金繰りも苦しくなります。「申告や納税が期日までにできない」という状況になるのは自然なことです。 しかし、それでも基本的に「税金は待ったなし」です。1年を通じて何らかの税金のイベントはあります。個人の農家なら、年明けの確定申告だけではありません。所得税の予定納税や消費税の中間納付があります。人を雇っているなら源泉所得税の納付や年末調整もあります。 災害の対処に追われ、税務上の手続きが遅れるとペナルティが生じます。期限後に申告すれば無申告加算税が、源泉所得税の納付が遅れれば不納付加算税が発生するのです。この他、法定期限後の納付にはすべて延滞税がかかります。 災害を受けて何もしないでいると、余計な税金を払う破目になるかもしれません。しかし、災...
2022.09.13 税務ニュース
「資産承継」と「経営承継」 “事業承継問題の解消が喫緊の課題である!” 各種メディアでよく出てくるフレーズです。インターネットで“事業承継”で検索すると、実に様々な情報が大量に表示されます。 ところで、事業承継の問題は誰に相談するとよいのでしょうか? 行政機関? 金融機関? 顧問税理士? M&A仲介会社? コンサルタント? 事業承継のケースによっても相談相手は異なってくるでしょう。日常的に接触機会の多い専門である税理士が、どういう立ち位置でこの事業承継にかかわってくるのかについて後ほどご紹介していきます。 では、少し具体的に事業承継の問題について考えてみましょう。 事業承継は大きく分けて、「資産承継」と「経営承継」に分けられます。この二つを承継してはじめて「事業承継」といいます。 「資産承継」は文字通り資産としての会社や事業を承継するという意味です。こちらは主に“お金”が問題になります。つまり、資産価値としての会社をいくらで買うとか、売った側の税金がいくらになるかというような話です。お金の問題は解決するのが比較的容易です。なぜなら、金額の多寡で判断が決まるからです。提示...
2022.09.05 税務ニュース
「相続税対策が必要だ」__相続特集の雑誌で目にする言葉です。しかし、相続税対策がいらないこともあります。すべての財産が基礎控除額以下のときです。今回、相続税がかかるしくみと相続税のカギの一つである基礎控除額を解説します。 相続税がかかるかどうかを決める2つのカギ 相続が生じても、相続税がかからないこともあります。それは、課税価格の合計額が基礎控除額以下となるときです。「課税価格の合計額≦基礎控除額」のときは、相続税の申告も納税もいりません。 課税価格の合計額と基礎控除額の内容は、それぞれ次の通りです。 課税価格の合計額 課税価格とは、相続人や受遺者(遺言で亡くなった人から財産をもらった人)が亡くなった人から受け取った財産の正味の金額のことです。 ただし、現預金や不動産といったプラスの財産から借金や未払費用などのマイナスの財産を引いたものだけではありません。相続税法で課税するとされたものも、課税価格に含まれます。 課税価格は、遺産をもらった人ごとに、次の流れで計算します。 【引用元】No.4152 相続税の計算(国税庁) この課税価格をすべて合計したもの...
2022.08.10 税務ニュース
郊外の住宅街で栗の木しか植えられていない畑を目にすることがあります。少量の栗の販売だけで生活が成り立つとは思えません。なぜこのような土地があるのでしょうか。理由の一つは、固定資産税にあるようです。 固定資産税とは何か 固定資産税は、土地や建物、償却資産と呼ばれる事業用資産に課される税金です。都道府県や市区町村が課税します。納めるのはその年の1月1日において固定資産の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人です。税額は、原則、次の式で計算します。 固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率) 農地の固定資産税は4区分で課税 農地も土地なので固定資産税がかかります。ただし、農地法で利用が制限されている分、収益性は宅地より劣ります。そのため、農地の固定資産税は宅地よりも低く設定されます。 ただ、農地と言っても様々です。農業向きなところもあれば、宅地向きなところもあります。固定資産税の課税にあたっては、農地は「一般農地」「生産緑地」「一般市街化区域農地」「特定市街化区域農地」に分けた上で計算します。 【引用元】農地の保有に対する税金(固定資...
2022.08.08 税務ニュース
はじめに 私たち税理士に対する相談事や税務調査の際の折衝におきまして拠り所とするものが「税法」です。しかし法律というものは「税法」に限らず、取り扱いを明示しているものではなく、基本的な考え方を示すにとどまっております。これを補完するために「施行令」や「施行規則」というものも準備されておりますがこちらも法の保管という位置づけに過ぎません。 「判決」「裁決」「判例」 一方でこれらの法の下、行動をし、結論付けられた結果があります。これらが「判決」「裁決」「判例」です。いずれも具体的ケースにおいてどの様に法が解釈され適用されたかということが詳細に示されており、実務上大きな拠り所となります。近年「裁決」の出たタワマン節税をはじめ、これらの具体事例が今後の税務判断に影響を与えるのです。今回は「判決」「裁決」「判例」のそれぞれの正しい理解とそれぞれの違いをお伝えしていきます。 「判決」は裁判所が下した判断の結果 「判決」は皆様も新聞やニュース、ドラマなどでも耳にしたことがあるのではないでしょうか。こちらは「裁判所が下した判断の結果」を指します。ですので「東京地裁で認容」や「最高裁で棄却」などと...