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税務ニュース
昨年12月20日に2025年度(令和7年度)税制改正大綱が公表されました。もっとも注目されたのは「103万円の壁の引き上げ」です。どうなったのでしょうか。いつから始まるのでしょうか。今回は、103万円の壁の引き上げと大学生のバイトの壁の引き上げを中心に解説します。 2025年度(令和7年度)税制改正①「103万円の壁」が「123万円の壁」に 個人向けの税制改正の1つ目は「103万円の壁の引き上げ」です。 103万円の壁とは、パート・バイトといった給与所得者の非課税枠を言います。「給与所得控除の下限55万円+基礎控除額48万円=給与年収の非課税の上限103万円」という内容です。 多くのパート・バイトはこの103万円の壁を気にするため、年末になると「働き控え」という現象が起きていました。そのため、企業は人手不足に悩み、家計は物価高が改善されないという状況に陥っていたのです。 そこで、与党から政策協力を求められた国民民主党が「103万円の壁を引き上げるべきだ」と提案しました。議論が重ねられた結果、今回の税制改正で103万円の壁が引き上げとなったの...
社会保険ワンポイントコラム
治療と仕事の両立についての社会的背景 近年、医療の進歩により、がんのように以前は不治とされていた病気でも生存率が向上し、長期にわたって仕事との両立が可能になりつつあります。病気になったらすぐに離職しなければならないという状況から、治療を行いながら仕事を続けられる社会的環境へと変化しています。 しかし、疾病や障害を抱える従業員を支援するための社内体制が整っていない場合、従業員は仕事を続けたくても離職を選択せざるを得ません。これは企業にとっても人材の大きな損失といえるでしょう。 両立支援の内容 治療と仕事の両立支援の内容ですが、具体的には次のような柔軟な働き方ができる制度を設けた上で、私傷病の治療や療養を目的とした利用ができるようにします。 時差出勤制度 短時間勤務制度 時間単位の休暇制度・半日休暇制度 フレックスタイム制度 在宅勤務(テレワーク)制度 休職制度 両立支援に取り組むことの効果 労働政策研究・研修機構(JILPT)の「治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)2024年3月」によれば、上記のよう...
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2024.11.27 税務ニュース
NPO法人は営利を目的とせず、社会的な課題の解決や公益の増進を目指して活動する組織です。この非営利という言葉から、NPO法人は利益を出してはいけないと誤解されることもありますが、収益を上げることは問題ありません。NPO法における非営利とは、収益を私的に分配せず、組織の目的達成のために再投資するという意味です。 この収益の分配について、理事や職員に賞与を支給することが利益の分配に当たるのではないかという質問を受けることがあります。そこで、今回はNPO法人が賞与を支給する際の注意点について解説します。 NPO法人が支払う賞与とは NPO法人が賞与を支給すること自体は法律上問題ありませんが、内部規程の整備や金額の妥当性などに注意する必要があります。具体的には、内部規程に賞与に関する事項を盛り込んだ上で規程に従って支給することや、支給金額に合理性があるかという点に気を付けて下さい。 一般的に、賞与には定期賞与と決算賞与の二種類があります。定期賞与は、定期的に支給される賞与であり、一般的には年に1回または2回、一定の時期に支給されます。定期賞与は基本給をベースに支給額を決定することが...
2024.09.26 税務ニュース
近年、ふるさと納税に対する関心が高まっており、年々寄付額が増加しています。2015年度では受入件数が726万件で受入額が1652億円だったものが、2023年度には受入件数が5894万件で受入額が1兆1175億円となり初めて1兆円を突破しました。(図表1) 図表1:ふるさと納税の受入額及び受入件数 (出展:総務省自治税務局市町村税課「ふるさと納税に関する現況調査結果」より筆者作成) ふるさと納税の拡大により、ふるさと納税が重要な財源の一つになっている自治体もあります。また、ふるさと納税の返礼品に採用されることで、大きく売り上げを伸ばす事業者も存在します。NPO法人が取り扱う商品やサービスでもふるさと納税の返礼品に採用されている例もあり、収入増加の一つの選択肢として検討する価値があるでしょう。 ふるさと納税の新たな動きと具体例 最近のふるさと納税の動向として、無形の返礼品の増加が挙げられます。例えば、新潟県湯沢町はフジロックフェスティバルの入場券を返礼品の一つにしています。このようにイベント等の入場券を返礼品にすることで、地域に人を呼び込み、食事や宿泊などへの波及効果などが期待さ...
2024.07.29 税務ニュース
2023年10月1日から適格請求書保存方式(インボイス制度)がスタートし、適格請求書発行事業者の登録を行ったNPO法人も多いと思います。しかし、経理の現場では混乱も少なくなく、スムーズな船出とは言えない状況です。今回はインボイス登録を行なった団体と行わなかった団体の事例をそれぞれ紹介し、現場にどのような影響があり、今後検討が必要であろうと思われる事項について解説します。 インボイス登録を行なった事業者 まず、就労継続支援B型作業所を運営するNPO法人がインボイス登録を実施した事例をご紹介します。このNPO法人では、一般企業からの軽作業などを請け負っており、取引先との間において消費税負担の問題が生じることとなりました。このNPO法人では、取引先との協議などを経てインボイス登録することとなりました。インボイス制度導入前から作業の単価に変動はないためNPO法人の負担が増えますが、想定される税負担を試算し、納税資金を確保できるよう準備しています。 インボイス登録を行わなかった事業者 障害福祉サービスを行うNPO法人でもインボイス登録をしていないケースがあります。この団体は自立訓練を中心...
2024.05.13 税務ニュース
3月決算のNPO法人は、5、6月は社員総会や事業報告書の準備などで忙しくなる時期だと思います。役員報酬については社員総会または理事会で決定することになりますが、金額を変更するかなど検討されているNPO法人もあるでしょう。 特に収益事業を行っているNPO法人においては、NPO法の規定だけでなく法人税法など税務上の取り扱いも理解した上で役員報酬を決定する必要があります。税務上の取り扱いを正しく理解していないと、支給した役員報酬が損金(税務上の経費)として認められないといったことも起こり得ます。 今回は役員報酬に関するポイントをNPO法と税務の目線から解説します。 NPO法と役員報酬 まず、役員報酬を受けることができる役員は総数のうち1/3以下です。これはNPO法において定められているため、順守する必要があります。ここで言う役員とは、理事と監事のことを指します。ただ、NPOにおいては理事が従業員を兼務して現場の仕事に従事していることも珍しくありません。このような場合まで規制することは合理的ではないため、従業員を兼務する理事に対して従業員として支払った給与については対象とはなりませ...
2024.03.08 税務ニュース
3月決算のNPO法人は決算が近づいており、決算準備を進めているところだと思います。株式会社などでも決算作業は手間がかかりますが、NPO法人の場合は非営利法人特有の論点もあり、専門知識も必要となります。 今回は、私が相談を受けた事例なども参考に、決算や税務申告の注意点などについて解説します。 社員(正会員)の会費の未収はないか 社員(正会員)に対して会費を設定しているNPO法人も多いと思います。会費の支払い方法については法人それぞれが定めることが可能ですが、社員総会の際に会費を回収している団体もあります。このような場合、社員総会に欠席した正会員の会費が未入金となっている例がよく見られます。 3月決算の場合には、5~6月に社員総会を開催する場合が多いと思いますが、2023年度の会費の未入金がないか確認しておきましょう。万が一、未入金となっている会員がいる場合には、早急に会費の支払いを依頼して3月末までに回収するようにして下さい。なお、決算時点で未入金がある場合「未収入金 / 正会員受取会費」として未収計上する必要があるので、計上漏れのないように注意しましょう。 各事業の区分は適...
2024.01.09 税務ニュース
NPO法人においても株式会社などと同様に、定款は組織の基本原則が記載された重要な書類です。定款に必ず記載すべき事項を必要的記載事項といい、目的や名称など14項目が定められています。所轄庁のホームページなどで定款の見本が公開されており、これらを参考に定款を作成する場合は必要的記載事項を漏らすことはないでしょう。 しかし、見本通りに作成すると運営上の不都合が生じる場合もあり、相談の中で定款の見直しを検討するNPO法人もありました。定款変更をする場合は所轄庁への届出や登記などを伴うため、設立の時点で将来的に見直しの可能性が少ない定款を作成しておくことが望ましいです。今回はNPO法人の定款で検討すべきポイントなどを解説します。 事務所の所在地 定款には主たる事務所の所在地を必ず記載する必要があります。ただし、記載が必要となるのは市区町村までです。入居するビルの部屋番号まで定款に記載している例もありますが、これでは近くに移転した場合にも定款変更が必要となり、手続きの手間や費用が発生します。そのため、基本的には市区町村まで記載すれば問題ないでしょう。 目的及び特定非営利活動の...
2023.11.06 税務ニュース
NPO法人は社会課題解決などのために重要な役割を果たしていますが、人材や資金などリソースをいかに活用するかが事業を継続する上で重要なポイントです。特に経理は、専任の経理スタッフを持たないNPO法人もあり、悩みを抱えている団体も多いでしょう。経理業務を効率化することで団体のリソースをより事業に投下できることにも繋がります。今回は、経理業務を軽減・効率化するための具体策を解説します。 ネットバンキングの活用 銀行口座を開設していても、インターネットバンキングを利用していないNPO法人も多くあります。特に小規模のNPO法人では専任の経理担当者を置いていないことも多いですが、経理の負担を減らす意味でもネットバンキングの開設は必要だと思います。ネットバンキングであれば時間に関わらず振込作業などが可能ですし、振込のために窓口やATMに並ぶ必要もなくなります。 また、ネットバンキングを活用することで経費削減に繋がる場合もあります。窓口やATMでの振り込みに比べてネットバンキングでの手数料の方が安いことが多いですし、ネット専業銀行では振込手数料がかなり安く抑えられています。 部門...
2023.08.02 税務ニュース
NPO法人は収益事業を行っている場合にのみ法人税の納税義務が生じます。設立時から収益事業を行っている場合には注意点は少ないですが、設立後に収益事業を開始または廃止する場合には注意が必要です。誤った認識をしていると申告漏れに繋がる可能性もあるため、正しく理解するようにしましょう。 法人税の納税義務が生じる場合 NPO法人は、次に記載している事業を継続して行う場合に、収益事業を行っているものとして法人税の納税義務が生じます。ただし、該当する事業が行われたとしても、それが継続して行われていなければ課税の対象にはなりません。例えば、通常は物販事業を行っていない団体が単発でイベントに出店して物販を行ったなどの場合には申告の必要はありません。 収益事業の34業種 物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供等を...
2023.05.31 税務ニュース
NPO法人の資金調達方法の一つに補助金や助成金があります。受益者負担が成り立ちにくい領域で事業活動を行っているNPO法人にとっては、補助金や助成金が重要な財源となっている場合も少なくありません。そこで今回は、NPO法人が補助金等を受ける際の注意点などについて解説したいと思います。 補助金や助成金と法人税の取り扱い 補助金や助成金は事業活動から得られる収入ではないため、原則として収益事業には該当せず法人税は課税されません。ただし、収益事業の収入または経費を補填するために交付を受ける場合についても益金として認識します。 例えば、特定の事業を実施するために補助率を定めて経費の一定割合を支給するという補助金等があります。このような場合は、実施する事業が収益事業に該当する場合には法人税の課税対象となります。一方で、実施する事業が収益事業に該当しないのであれば、補助金に対しても課税はありません。 また、固定資産の取得や改良のために支給される補助金等は、その固定資産が収益事業に使われるものであっても益金不算入となり課税されません。この場合、収益事業の減価償却費は助成金等を控除しない実際の...
2023.03.13 税務ニュース
令和4年1月1日から電子帳簿保存法が改正され、電子データで授受する請求書等の保存ルールが変更されました。これに伴いクラウド型の会計ソフトを中心に電子帳簿保存法に対応する動きが進みました。ただし、令和5年12月31日までは経過措置としてデータを印刷して保存することも認められていますので、本格的な施行はそれ以降となります。また、令和4年12月に発表された税制改正大綱においても新たな改正案が記載され、令和6年1月からの取り扱いが明確になりました。 そこで、今回は電子帳簿保存法と関係するNPO法人について解説します。 改正電子帳簿保存法 電子帳簿保存法の内容は①電子帳簿等保存(会計帳簿等)、②スキャナ保存、③電子取引に区分されます。①と②は任意で電子保存を認めるものですが、③は電子データで授受した資料を原則として電子保存することを求めるもので多くの法人に影響します。そのため、今回は電子取引の改正に焦点を当ててご説明します。 まず、改正後の電子帳簿保存法では、電子データで授受した請求書等を電子データのまま保存することが求められることとなります。具体的には①電子計算機処理システムの概要...
2023.02.13 税務ニュース
従来からNPO法人では寄付募集が広く行われていましたが、近年ではクラウドファンディングで資金調達を行う団体も増えています。ただし、クラウドファンディングについては税務上の取り扱いが一般的な寄付と異なる場合もあり、実施する際は税務的な観点からのチェックも必要となります。 今回はNPO法人がクラウドファンディングを行う際の税務上の取り扱いについて解説します。ただし、新しい論点であり国税庁などから公式見解が発表されている訳ではありませんので、私見であることをお断りしておきます。 クラウドファンディングの仕組み クラウドファンディングとは「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。特定の人物や組織から大口の寄付を募るのではなく、多くの人から数千円から数万円程度の小口の資金を集めることが特徴です。 まず、クラウドファンディングの仕組みについて簡単にご説明します。支援を受けたい資金調達者はクラウドファンディングを仲介するサイトを通じて周知し、賛同した支援者が同サイトを通じて資金提供するというものです。仲介サイトは、支援者が提供した資金から一定の手数料を...
2022.10.11 税務ニュース
NPO法人に対して法人税がどのように課税されるのかは誤解も多く、分かりにくい部分です。例えば、一切課税されない、利益が出る事業に対しては課税されるといったような誤った認識を見聞きすることも少なくありません。そのため、本来は確定申告が必要であるにも関わらず申告をしていなかった例や、法人税が課税されない事業も含めて申告をしていたという例もあります。 今回は、NPO法人に対しての課税の仕組みについて解説します。 NPO法人への課税の考え方 NPO法人の法人税の納税義務は株式会社などの普通法人と異なり、法人税法上の収益事業に対してのみ課税されます。収益事業とは、①限定列挙された34業種であること、②継続して行われるものであること、③事業場を設けて行われるものであること、の3つの要件を満たすものです。つまり、34業種に該当する収益があったとしても、それが単発のイベント等であり継続しないものであれば収益事業には該当しないということです。 この背景にあるのは、イコールフッティング論といわれるものであり、これは営利法人と競合する事業については競争条件の公平等を図るべきという考え方です。その...
2022.07.11 税務ニュース
NPO法人にとって寄付金は事業を支える柱となり得るものであり、特に新型コロナウイルスの流行以後はクラウドファンディングやマンスリーサポーターなどで寄付金を募る団体が増加しています。実際に、弊所の顧問先や私が理事を務めるNPO法人でもクラウドファンディング等を実施した団体があります。 認定NPO法人の制度には寄付者に対する税制優遇があるため、認定を受けることでさらに寄付金を集めやすくなることが考えられます。そのため、コロナ禍で認定の取得を検討する団体が増えている印象もあります。認定NPO法人が急激に増加したのは東日本大震災以降であり、2011年度は244団体だったものが2012年度には407団体、2013年度には630団体となりました。 認定を取得し多くの寄付を集め、被災地域の復興の一端を担ったNPO法人も多くあります。その後は年間50団体程度のペースで増加していますが、コロナ禍を経て再び認定NPO法人に注目が集まっていると感じています。 今回は認定NPO法人のメリットや申請する上での注意点などを解説します。 認定NPO法人のメリット 認定NPO法人に対する寄付金には税制優...
2022.04.25 税務ニュース
ご存知の方も多いと思いますが、令和5(2023)年10月1日から消費税の適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」)がスタートします。インボイス制度の下では、適格請求書発行事業者として登録されていない取引先への支払いは仕入税額控除が認められません。(制度導入から6年間は経過措置あり) NPO法人は消費税の免税事業者も多いため、インボイス制度への対応に苦慮している法人も少なくないでしょう。今回はインボイス制度の概要と適格請求書発行事業者に登録をすべきかの判断材料を整理したいと思います。 特に注意すべきNPO法人 株式会社などの営利企業には税務署からの郵送物や顧問税理士などからインボイス制度について周知が進められているところです。ただ、NPO法人は収益事業課税のため、収益事業を行っておらず基準期間の課税売上高が1000万円以下の団体は法人税・消費税ともに確定申告義務がありません。このような団体は税務署や税理士との接点が少ないため、インボイス制度に関する情報もあまり入っていない可能性があります。 このような収益事業を行っていない小規模のNPO法人にも関わる制度改正ですので、情報...