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2017.08.01 社会保険ワンポイントコラム
最近、TVや週刊誌でパワーハラスメント(以下、パワハラ)に当たると思われる事案について、実際に録音された音声が繰り返し流されています。パワハラはパワハラをしている方にその意識や悪気がなかったとしても、受けた側の心(時には身体も)の傷は大きく、就業環境の悪化に耐え切れず、退職に追い込まれることさえあります。そこで、今回はパワハラに限らず、会社担当者が気を付けるべきハラスメントについてまとめてみました。 ハラスメント1 セクシャルハラスメント(以下、セクハラ) 労働者の意に反する「性的な言動」により、「労働条件についての不利益や就業環境が害されること」と厚生労働省で定義されており、一般的に男性から女性に対する言動を指しますが、女性から男性に対する言動や同性に対するものも該当する場合があります。このセクハラは男女雇用機会均等法(以下、均等法とする)により、事業者は相談窓口を整備するなど防止措置をとることが義務付けられています。よって相談窓口に相談があった際に調査もせずに「あの人はまじめな人だからセクハラなんてするはずがない(あなたの思い込み)」などという偏った姿勢を会社が取ることは許され...
2017.07.01 社会保険ワンポイントコラム
今年の1月1日に改正育児・介護休業法が施行されましたが、この秋にさらに改正されるということをご存知でしたでしょうか?短期間での改正になりますので、実務担当者の方は情報もれのないよう、今のうちに確認していただきたいと思います。 前回の改正内容 今年初めの育児・介護休業法の改正箇所は主に介護休業関連が中心でした。介護休業に関して「対象家族の範囲の拡大」や「同一対象家族について3回までの分割取得」、それに「介護短時間勤務の期間変更」や「所定外労働の免除(残業免除)」「介護休暇の半日取得」などが改正されました。しかし、育児休業関連については、育児休業の対象となる子が「特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等」への拡大や、「子の看護休暇の半日取得」といった程度でした。 育児休業の現状 今回、育児休業が法改正されることになったのですが、その理由は主に育児休業の現状にあります。現在、育児休業を取得することができる期間は、原則、対象となる子が「1歳まで」となっており、保育園等に入所できなかった場合に限り、例外的に「6ヶ月延長」が認められ、合計最長「1歳6ヶ月まで」育児休業の取得が...
2017.06.01 社会保険ワンポイントコラム
今回のテーマは万が一に備えての内容です。 イザという時に備えて 不幸にして従業員の方が在職中に亡くなられてしまう場合があります。まさかあの人が……という突然のケースもありうることだと思いますので、会社担当者としてはいざという時に備えての準備と段取りの確認はしておくべきでしょう。 規程の整備 まず、ふだんからの準備として規程関係を整備しておきましょう。整備しておくべき項目は①弔慰金の額、②花輪(供花)や電報の基準、等です。弔慰金については業務上で亡くなったのか、業務外で亡くなったのか、によって金額に差をつけている場合もあります。また、花輪等や電報についても規程で定めておけば、急な事態に迷うこともなくなるでしょう。弔慰金については、勤続年数によって決めている場合もあれば、一律で10万円などと決めているところもあります。また、業務上の死亡か、業務外の死亡かによって区分している会社もあります。 気を付けていただきたいのは、花輪等については葬儀場によって指定業者が決まっている場合があることです。業者選定に関しては都度の判断が妥当です。 葬儀の対応 会社での貢献度や役職等により、ご葬儀に従業...
2017.05.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は最近よく耳にする働き方改革実現会議の重要なテーマであった「同一労働同一賃金」について、この考えに至った経緯について触れてみたいと思います。 働き方改革会議 我が国は少子高齢化が進み生産年齢人口は継続した減少傾向にあります。また、労働生産性に関しても諸外国と比較して低い順位となっており(注)、経済回復の足かせとなっています。そのような背景の折、昨年8月3日に発足した第3次安倍再改造内閣において日本経済再生に向けて「働き方改革担当相」が新設され、昨年9月から今年の3月まで10回にわたり「働き方改革実現会議」が開催されました。安倍首相は、この働き方改革を日本経済再生の「最大のチャレンジ」と位置づけたのです。 (注)2014年マンアワーベースの労働生産性水準の国際比較 (厚生労働省 平成27年版 労働経済の分析) 1位 ノルウェー 2位 米国 3位 ベルギー 4位 デンマーク 5位 フランス 6位 ドイツ 7位 スイス 8位 スウェーデン 9位 フィンランド 10位 スペイン 11位 イタリア 12位 カナダ 13位 英国 14位 OECD平均 15位 日本 ...
2017.04.01 社会保険ワンポイントコラム
会社の社会保険担当者の方、特に給与計算を扱っている方にとっては春と秋の年2回、気を付けなければならない時期がやってきます。特に春は健康保険料に関する保険料率の変更や雇用保険料率の変更があります。この変更を見逃してしまうと保険料率が上がった場合は会社側の負担が重くなり、また逆に保険料率が下がった場合はお給料から多くとりすぎて従業員の方が余計な負担をしてしまうことになります。間違うと影響が大きいですので、担当者の方はしっかり確認しておきましょう。 健康保険料の違い ひと口に健康保険料といっても、全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)か、組合管掌の健保組合(以下「組合健保」)かによって保険料率が異なります。このうち協会けんぽの医療にかかる保険料率(一般保険料率)が変更になることが決定しました。この一般保険料率(注)は都道府県によって異なっていますので、会社の登録所在地が該当する都道府県で判断しなければなりません。 (注)一般保険料率は、基本保険料率と特定保険料率とで構成されており、基本保険料率は被保険者や被扶養者の給付等に充てられ、特定保険料率は後期高齢者の支援金等に充てられます。特定保...
2017.03.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は社会保険関係のマイナンバー状況について確認しておきましょう。 1年遅れで対応 会社が行政機関に提出する従業員関連の書類について、本来は平成28年1月からマイナンバー記載が必要とされていました。ところが実施前に年金事務所での管理体制不備が明らかとなり、社会保険でマイナンバーを導入するのは1年遅れとされました。このため、年金事務所等に対する届け出書類にはマイナンバー記入欄が設けられなかっただけでなく、添付書類にもマイナンバーの記載はしないように、となりました。 29年1月からの状況 上記のように社会保険関係でのマイナンバー利用は1年遅れ、つまり、平成29年1月からの届け出書類には多くの書類でマイナンバー記載が必須となる予定でした。ところが実態は異なり、協会けんぽと組合管掌の健康保険組合(以下、健保組合)では扱いが異なってしまいました。具体的には協会けんぽに加入している会社については当面の間は引き続きマイナンバーは不要、健保組合加入の会社についてはマイナンバーの記入が必要となりました。 加入の健保によって異なる対応 会社が協会けんぽに加入か健保組合かによって対応が異なると述べました...
2017.02.01 社会保険ワンポイントコラム
毎年のように労働法関連の法律が改正されていますが、今年も1月1日から改正育児介護休業法、男女雇用機会均等法が施行されました。今回の改正に関しては企業規模に関係なく対象となりますので、実務担当者の方は必ず確認しておきましょう。 改正内容1 介護休業の対象家族の拡大 雇用保険の被保険者で一定要件を満たしている従業員は、対象家族を介護した際に介護休業を取得することができます。この対象となる家族が拡大されました。 改正前 改正後 1 配偶者、父母、子、配偶者の父母 2 同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 同居・扶養要件が撤廃され、今後は「田舎にいる兄のために介護休業を……」という場合も可能です。 改正内容2 介護休業の分割取得 従来まで介護休業は同一家族の同一傷病に関して「1つのまとまった期間」とされていました。それが今回の改正により通算93日間の間であれば同一傷病であっても3回の取得が可能となりました。 改正前 改正後 対象家族1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能 対象家族1人につき、...
2017.01.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は先日成立した年金法の改正について確認しておきましょう。 改正法成立 平成28年11月16日の参議院本会議において「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律(いわゆる年金機能強化法)」が全会一致で可決、成立しました。今回のポイントは、老齢年金が受け取れる受給資格期間(注)が現行の25年から10年に短縮されたことです。この改正は来年8月に施行され、10月から約64万人が新たに老齢年金を受けられるようになる見通しです。本来、この改正は消費税率の10%引き上げに合わせて実施される予定でしたが、おおもとの消費税引き上げが延期された為、延び延びになっていました。 (注)受給資格期間とは「保険料納付済期間」だけではなく、「保険料免除期間」と「合算対象期間(カラ期間)」も含まれます。 他国との比較 外国で老齢年金を受け取れるようになる受給資格期間は、アメリカで10年、ドイツでは5年、となっています。今回の我が国の10年への改正は上記の他国並みになったともいえます。ただし、日本の年金制度では無業者も含めて強制適用の対象であり(...
2016.12.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は平成29年1月からの雇用保険の適用拡大の実務について確認しておきましょう。 雇用保険の適用対象者 雇用保険の適用対象者は雇用契約期間の見込みが31日以上あり、週の所定労働時間が20時間以上の雇用関係にある人が対象となります。ただし、4ヶ月以内の季節的に雇用される人や昼間学生の方、65歳以上で新たに雇用される方、それに法人の役員(兼務役員除く)や家族従事者等は原則として雇用保険の対象にはなりません。 適用者拡大 上記のように65歳を迎えた日以後に新たに雇用された方は雇用保険の加入対象にはなりませんでした(65歳到達日より前から雇用されていて雇用保険に加入されていた人は継続加入)。ところが、雇用保険法の改正により平成29年1月1日からは、65歳以上で新たに入社される方も雇用保険の加入対象となりました。よって、65歳未満の方と同様、会社担当者の方は雇用保険の取得手続きが必要です。 すでに入社している方の扱い ここで気をつけなければならないのは、平成29年1月1日前に65歳以上で会社に雇用されていた人達です。この人達は雇用されたのが65歳以上でしたので雇用保険には加入していません。し...
2016.11.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は意外と知られていない「二以上事業所勤務届(以下、二以上勤務届)」についてです。 複数の会社からの収入 皆さんは何ヶ所からお給料をもらっていますか?企業に勤めている普通の正社員の方なら「一ヶ所に決まっているじゃないか」と答えることでしょう。しかし、世間では一つの会社からだけではなく複数の会社からお給料をもらっている方がかなりいます。休日や夜間にアルバイトで副収入を得ている方や、複数企業を経営したり役員になったりして役員報酬を得ている方などです。このような場合二ヶ所以上から給与(報酬)を得ているわけですが、テーマである「二以上勤務届」の対象になる方の多くは後者の方になります。 非常勤の場合は社会保険の対象にはならない 社会保険の適用事業所となっている会社で勤務している人は、原則として一般従業員の1日または1週の所定労働時間及び1月所定労働日数の4分の3以上働いている場合、社会保険の加入対象になります。つまり、1日の基本労働時間が8時間で、週5日勤務の週40時間の会社ならば、その4分の3である週に30時間(※)未満程度の勤務でなければ社会保険の加入対象者となります。いわゆる正社員の...
2016.10.01 社会保険ワンポイントコラム
毎年この時期になると経営者の間で話題になるのが最低賃金額の変更についてです。昨年は大幅UPとなりましたが今年はどうなるのでしょうか。 最低賃金額改定の仕組み 最低賃金額とは、最低賃金法に基づき賃金の最低額を国が定めているもので、使用者は、その額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。最低賃金額についての改定の仕組みは、まず、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランク(注)に分けて改定額の目安について答申がなされます。この結果を受けて地方最低賃金審議会が地域における状況等を調査審議の上、都道府県労働局長に答申。最終的に都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定します。 ランク 都道府県 A 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 B 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島 C 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡 D 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 大幅引...
2016.09.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は意外と判断が難しいパート従業員の雇用保険加入について触れていきたいと思います。 対応する保険の種類 従業員の労働保険(労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称)については、労災保険は正社員・パートタイム労働者(以下パート従業員)の区別なく、役員等を除く全員が適用(被保険者)となります。被保険者となるに際して個人毎の手続きは必要ありません。しかし、雇用保険については、主に「働く時間と雇用期間」によって被保険者となるか否かが異なります。被保険者となる主な基準は1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ、雇用される期間が31日以上見込まれる場合となっています(65歳以後に雇用される者、4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業の被雇用者、船員保険の被保険者、退職手当等受給者、法人役員、勤労学生等は加入対象外)。 加入対象者の判断 上記のように働く時間と雇用期間によって雇用保険に加入するか否かが決まりますので、いわゆる正社員であれば「入社=雇用保険加入」ということで手続きを行います(正社員の大半は1週間の所定労働時間は20時間以上であり、雇用される期間についても定めがないのが一...
2016.08.01 社会保険ワンポイントコラム
今回のテーマはイザという時にとても重要な「介護」に関する雇用保険法の改正をとりあげます。内容をしっかりと把握して実務発生時に備えてください。 改正内容1(介護休業の)分割取得 雇用保険の被保険者で一定要件を満たした従業員については、対象家族を介護した際に介護休業(通算で93日間)を取得することができます。この休業に際して雇用保険から介護休業給付金が申請により支給されるのですが、給付の対象となる休業は、同一家族の同一傷病に関して「1つのまとまった期間」とされています。例えば従業員が父親の骨折で介護休業を1度取得して職場復帰した場合、今回の骨折に関しての給付金はそれで終了となり、再度この骨折で入院や通院のために介護休業を取得したとしても給付金の対象にはなりませんでした。 しかし、今回の改正では通算93日間の間に3回の取得が可能となりました。これにより例えば、第1回目は入院先が見つかるまでの間を休業。対象家族が入院後は職場復帰し、その後退院して在宅介護した際に第2回目の介護休業を取得とするといったケースも、給付の対象になります。この改正は、平成29年1月1日施行ですので、同日以降に開始...
2016.07.01 社会保険ワンポイントコラム
支給は義務ではない 通勤手当は多くの会社で支給していることと思いますが、支給自体は義務ではありません。あくまで会社の任意で支給される手当ですので「通勤手当はもらえてあたり前」というわけではないのです。従業員の方に誤解を与えないためにも、新たに入社する方には自社の大まかなルールをあらかじめ説明しておいた方がよいでしょう。 支給内容は各社で定める 通勤手当の支給ルールはその会社の就業規則(賃金規程)で定めることになっています。もともと任意なのですから支給内容は各社で自由に決めていいわけですが、何も考えずに決めてしまうと後々問題になってしまいます。たとえば通勤手当の1ヶ月の限度額を所得税法の「非課税限度額」までとしている規則をよく見かけますが、交通機関におけるこの非課税限度額は平成28年1月1日以後に支払われるべきものから月額150,000円になっています。この上限額は現実的に支払う額として決めておくべきでしょう。 また、定期代として支給する場合は設定が1ヶ月定期なのか6ヶ月定期なのかによっても金額は異なります。この点も規則として明確にしておく必要があります。 通勤ルートや手段によって額が...
2016.06.01 社会保険ワンポイントコラム
新入社員研修や保険加入手続きも終わり、事務担当者の方はようやく緊張がほぐれた時期ではないでしょうか。少しのんびりしたいところではありますが、今年の秋に大きな改正が控えていますので、今から改正内容と対象の有無について押さえておきましょう。 社会保険加入の対象者 社会保険に加入している会社の場合、原則としてその会社で雇用されている人は全員、社会保険加入の対象となります。ただし、例外的に、勤務している会社(事業場)で通常就労している社員の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3未満(以下、「4分の3要件」とする)のパート従業員(以下「パート」とする)については、健康保険及び厚生年金保険の適用除外となっていました。そのため「会社の社会保険料の負担を増やしたくないので正社員ではなくパートを採用している」という会社も多数あるものと思われます。 法律改正の背景 正社員ではなくパートの場合、上記のように4分の3要件を満たした者については社会保険加入の対象にはなりません。その分、会社も本人も社会保険料の負担がなくて済みますが、その反面、受けられる給付内容も金額も少なくなってしまいます。例えば、...
2016.05.01 社会保険ワンポイントコラム
雇用保険法が改正されました。改正内容は複数ありますが、今回はその中でも特に影響が大きいと思われる2つを取り上げてみたいと思います。 雇用保険料率の引き下げ(平成28年4月1日~) 雇用保険における失業等給付の収支が黒字であるため、今回、労働者負担、事業主負担ともに雇用保険料率を引き下げることとなりました。一般の事業の場合、給与から控除する労働者負担分は従来の1000分の5から1000分の4に変更となります。 <給与29万円、交通費1万円の方の給与から控除する雇用保険料(一般の事業)の例> 改正前 300,000×0.005=1,500円 ⇒ 改正後 300,000×0.004=1,200円 <保険料率の比較(各下段は従来までの平成27年度の率)> 施行日は平成28年4月1日ですので、4月分の給与から控除額を変更する必要があります。変更忘れにご注意ください。 介護休業給付金の給付率変更(平成28年8月1日~) 雇用保険における給付金として、対象家族を介護している介護休業期間中に支給対象となる「介護休業給付金」があり、これについての1日あたりの支給金額が変更となります。 <改...
2016.04.01 社会保険ワンポイントコラム
今回は傷病手当金と出産手当金という金銭に直結した法改正ですので、改正内容をしっかりと把握してください。 傷病手当金と出産手当金 従業員の方が病気や怪我で会社を休んだ場合、一般的にはその日の給与が不支給(または減額)となり収入が減少してしまいます。その際の生活補償という意味合いで、健康保険には被保険者に対して『傷病手当金』という制度があります。この制度は、業務外の事由(仕事や通勤以外)で病気や怪我のために労務不能となり、連続してお休みをした4日目以降、休業期間中に一定額が支給されます。 一方、『出産手当金』は、健康保険の被保険者が出産のため会社をお休みした産前産後の期間(原則、産前42日産後56日)、給与が不支給(または減額)となった際に一定額が支給されます。 計算方法の変更 上記の『傷病手当金』と『出産手当金』の支給金額の計算方法が、平成28年4月1日より変更となります。 (平成28年3月31日までの1日あたりの額) (休んだ日の標準報酬月額)÷30日×3分の2 (平成28年4月1日からの1日あたりの額) (支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額)÷3...
2016.03.01 社会保険ワンポイントコラム
準報酬等級とは 社会保険(健康保険と厚生年金保険)にかかる毎月の保険料は、事務の簡略化のために標準報酬という仕組みがとられています。この標準報酬は報酬の額(給与の額に交通費を加算した額、以下同様)毎に等級が定められており、「標準報酬等級表」という表によって同じ等級内の人は毎月の保険料額が同じ金額と定められています。 標準報酬等級表の範囲 この等級表の区分数は健康保険と厚生年金保険で異なっており、健康保険は1等級(5万8千円)から47等級(121万円)まで、厚生年金保険は1等級(9万8千円)から30等級(62万円)までとなっています。各上限の金額を超えた報酬月額をもらっている場合は、一番上の等級の保険料額になります。厚生年金と健康保険では等級上限に違いがありますので、例えば報酬月額が80万円の方の場合、健康保険では39等級に該当しますが、厚生年金は上限の30等級にしか該当しません。 等級の上限改定 上に述べたように報酬月額が等級表の上限を超えている場合は、それ以上いくら報酬が増えてもその人にかかる保険料額は変わりません。ですが今回、平成28年4月1日の法改正施行(いわゆる医療保険制度改...
2016.02.01 社会保険ワンポイントコラム
今年も社員全員、穏やかに過ごしていただきたいものですが、予期せぬ病気や怪我に襲われ、長期的に会社を休んでしまう社員がいるかもしれません…。そんな時に心強いのが傷病手当金制度です。 傷病手当金とは 病気や怪我で会社を休んだとしても、数日程度であれば年次有給休暇で対応可能だと思います。しかし、大きな怪我や手術を要したりするような病気の場合は、会社を休む期間が長期化(休職等に該当)し、その間の収入が途絶えてしまうことになります。治療費がかかるのに無収入ですから社員にとっては厳しい状況になります。 そこで、この傷病手当金の出番となります。傷病手当金は業務外の事由(仕事や通勤中以外)で病気や怪我のために労務不能となり、連続して休んだ4日目以降、休業時の生活保障として支給されるものです。注意点は、下記のように連続3日間休まないと待期期間が完成せず支給が開始されません。また、労災と違い、この待期期間の3日分について会社は賃金補償をする義務はありません。 <待期期間の考え方> 上記のように連続して3日以上休業した時に待機期間が完成。4日目から傷病手当金の対象となります。 上記待機期間...
2016.01.01 社会保険ワンポイントコラム
気が付けばもう師走!慌ただしい季節になりました。そんな折、改正労働安全衛生法により50人以上の事業場に対しては「ストレスチェック制度」の実施が義務化されました(12月1日施行。1年以内の実施義務)。対象となる会社はもちろんのこと、そうではない会社も実施を推奨されていますので、制度内容を確認しておきましょう。 背景と目的 近年、仕事によるストレスが原因で精神障害を発病、労災認定される労働者が増えていました。そこで、労働安全衛生法の一部が改正され、ストレスチェック制度を導入する運びとなりました。制度の目的は労働者に「心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)」を受けていただき、その人のストレスの程度を把握してメンタルヘルス不調となることの未然防止、及び職場改善につなげることとされています。 事前準備 会社(以下、「事業者」とします)は基本方針を表明すると共に、衛生委員会等を開催します。そこで制度実施に対する方法を決めて規程化し、この内容をあらかじめ労働者に周知することとされています。ポイントとして実施者は事業者ではなく、医師、保健師、その他厚生労働大臣が定めるものを修了...