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2020.07.01 社会保険ワンポイントコラム
賞与をもらってその月中に退職する社員の場合、退職日が月末か月末以外かにより、「社会保険料負担の要否」が異なることをご存じだろうか。今回は、夏の賞与の支給を受けて退職する予定の社員について、賞与支給時の社会保険手続きを確認しよう。 資格喪失月に支給した賞与は、原則として保険料の負担対象にならない 賞与が厚生年金保険・健康保険の資格喪失月に支給されることがある。この場合、その賞与は厚生年金保険等の保険料の負担対象にならないのが原則である。例えば、7月上旬に夏の賞与の支給を受け、7月20日付で退職する社員を考えてみよう。厚生年金保険等の資格喪失日は退職日の翌日なので、7月20日付退職者の資格喪失日は7月21日になる。この場合の資格喪失月は7月である。従って、7月上旬に支給した賞与は「資格喪失月の支給」となり、前述のとおり厚生年金保険等の保険料の負担対象にはならないものである。 “月末退職”の場合、退職月に支給した賞与は保険料負担の対象になる ただし、“月末退職”の場合には事情が異なる。例えば、7月上旬に夏の賞与の支給を受けて7月末日付で退職する場合、厚生年金保険等の資格喪失日は8月1...
2020.06.15 新型コロナウイルス関連情報
新型コロナにより売上が減少するなど影響を受けた中小企業に対して、申告延長・納税猶予の制度が認められています。資金繰りが厳しい中小企業は、是非活用を検討してみてください。 1. 申告・納付期限の個別延長 ( 1 ) 制度の概要 新型コロナにより期限までに申告等ができない法人が、個別に申告期限延長を申請できる制度です。延長された期間に係る延滞税・利子税は基本的に発生しません。 ( 2 ) 対象となる税金 法人税、消費税等の国税の他地方税も含まれます。 ( 3 ) 要件 新型コロナの影響により、期限までに申告等ができないやむを得ない理由がある場合に認められます。やむを得ない理由には、法人の役員、従業員が新型コロナウィルスに感染した場合だけでなく、事業活動に支障をきたすもの(下記参照)など、広範囲なものが含まれます(「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」令和2年4月 国税庁より)。 体調不良により外出を控えている方がいること 平日の在宅勤務を要請している自治体にお住まいの方がいること 感染...
2020.06.15 新型コロナウイルス関連情報
全国の緊急事態宣言が解除され、在宅でのテレワークから再び出社するようになっても、前と同じ日常が戻ってくるわけではありません。長期にわたるテレワークの経験が、仕事に対する感覚を変えてしまった部分もあるでしょう。そしてウイルス対策をしながら同僚と同じ場で働く、という新たな課題も出てきました。withコロナ時代の新たな働き方について、3つの面から見てみましょう。 オンラインのコミュニケーションを対面のコミュニケーションに活かそう メールやチャットでの文字のコミュニケーション、オンライン会議での画面越しのコミュニケーションでは、対面の場合と違って微妙な間合いや表情が伝わりにくくなります。対面であれば、ちょっとうなずいて済ませていたことをすべて言葉にするなど、「相手に伝える」という意志と工夫が必要になってきます。出社するようになって、オンラインのときのように、細かく気を使わなくても済む、と安心していてはいけません。表情や間合いによる「阿吽の呼吸」は、社内の了解事項に通じている人や、長時間ともに過ごす人同士ではストレスのないコミュニケーションですが、そうではない人たちにとっては、逆に足かせ...
2020.06.01 社会保険ワンポイントコラム
企業の成長を阻害する要因をアトランダムに挙げていくと、「人口構造の変化」、「メンタル不調に陥りやすい社会構造」、「コンプライアンス重視社会の到来」など枚挙に暇がありません。とりわけ、「あらゆる価値観がシフトしている時代」に立ち至ったことが大きいのではないでしょうか。そこは「答えのない世界」だとも言えます。「答えがある世界」では、経験値の高い人をリーダーにして、答えをみんなで探し出せば事足りました。しかし、「答えのない世界」では、多様な人たちが協調して答えを創り出さなければ生き残れません。 このような時代であるからこそ、社員個々の能力を高める研修は必須です。しかし、多くの企業で行われている社員研修は、「新入社員研修」「階層別研修」「管理職研修」など、極めてルーチン的な枠組の中の研修にとどまっているようです。これで本当に企業という組織を構成する人材が有為に育っているでしょうか。人材の価値はバランスシートに計上されませんが、「負債」とみなさざるを得ない社員が「資産」に転化しているでしょうか。これまでの研修で十分機能している企業は問題ありませんが、そうでない企業は研修を根本から見直す必要...
2020.05.15 新型コロナウイルス関連情報
新型コロナウイルス対策のために、出社を見合わせ、テレワークを採用する会社が増えています。しかし、本来必要な準備をする時間がないままテレワークに突入したため、さまざまなひずみが出ています。特に普段とは違うコミュニケーション方法に、戸惑いや人間関係の難しさを感じることも多いでしょう。どのように対応したらよいのでしょうか。 雑談の場をつくる 職場で近くに座っている同僚と雑談することは、日常の自然な一コマです。この雑談の効用は案外大きく、お互いのことを知って信頼関係を結ぶためには欠かせないものです。テレワークでは、チャット等でつながれるしくみがあっても、相手の状況が見えないために、話しかけていいのかどうか、躊躇してしまいます。そのため、あえて雑談をするための時間をつくることが必要になってきます。業務のためのWeb 会議の前や後に、10分程度の短時間でよいので、気楽に雑談する時間を設けてみましょう。オンライン朝礼や、それぞれ好みの飲み物を用意して、オンラインお茶会をするのもよい試みです。その際、職場のリーダーは、画面越しでは参加者同士の雰囲気や間合いが感じにくいことを頭に入れ、普段より大...
2020.05.01 社会保険ワンポイントコラム
2020年4月1日に労働基準法が改正されて、未払い残業代の請求に関する時効が2年から※3年になりました。※2020年4月1日以降に発生した未払い残業代が該当 さらに今後は5年になることも想定されます。これまで以上に未払い残業代に対するリスクが上昇しています。そこで、給与担当者様向けに未払い残業代に関するリスク事例をご紹介します。 事例:1 「みなし残業手当」を支給している 多くの会社で採用されているみなし残業手当制度ですが、残念ながら適正に運用されていないケースが多々あります。例えば、含まれる時間数・金額、深夜手当の扱い、規定や賃金台帳への記載などで不備が見受けられます。適正に運用されていないケースで未払い残業代の請求をされた場合、最悪のケースとして残業代の支払いを全くしていないことになりかねません。該当する過去の給与計算すべてをやり直すこととなってしまいます。 事例:2 複数人から請求される 一人の未払い残業代の請求が認められる(支払われる)と在職者・離職者問わず、次から次に請求されることがあります。対応する労力は、言わずもがな、ではないでしょうか。未払い残業代を支払うために...
2020.04.13 新型コロナウイルス関連情報
令和2年4月7日に発令された新型コロナウイルスの緊急事態宣言。宣言を受け、在宅勤務によるテレワークを始める企業が後を絶たない。そこで今回は、初めて在宅勤務を行う際の労務上のポイントを紹介しよう。 就業規則を変更し、新しい労働条件を明示する 1番目のポイントは就業規則を変更し、新しい労働条件を明示することである。 労働基準法上の労働者には、在宅勤務でも労働基準関係諸法令が適用される。法令上、社員に在宅勤務をさせる場合には、在宅勤務があることを採用時に労働条件通知書や就業規則の記載により明示しなければならない。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って初めて在宅勤務を行う企業では、このような明示は行っていないであろう。そのため、在宅勤務を命じることは既存の労働条件の変更に当たり、社員との個別の合意または就業規則の変更が必要になる。変更した就業規則は適正な手続きを経て、所轄労働基準監督署に届出なければならず、また、社員には新しい労働条件を書面で明示することが必要となる。 労働時間を把握する 2番目のポイントは、在宅勤務中の社員の労働時間を把握することである。企業に課せられた...
2020.04.01 社会保険ワンポイントコラム
ハラスメントというと、だれかを意識的にいじめる、悪意のある行為だと思われがちです。しかし、実際には「相手のためを思って」「相手に好意を持っているから」ハラスメントになってしまう場合が多いのです。そのような悪意のないハラスメント行為をしてしまう人には、共通した勘違いが見られます。 代表的なものを3つご紹介しましょう。あなたは大丈夫でしょうか? 1. 相手とは親しい、相手は自分に好意を持っている 「相手とはよい人間関係があるから、ちょっとくらいからかっても構わないだろう」と思っていませんか? この場合の「相手」というのは、たいてい自分よりも職場内で立場が弱い人です。自分よりも力を持っている人に対しては、嫌なことをされても嫌と言えないのが普通です。相手が逆らわない、笑顔を見せているのは、あなたのことを好きだったり、あなたに親しみを感じているのではなく、あなたの持っているパワーを恐れているだけなのです。 2. 言っていることが正しいのだから、少々言い方がキツくても構わない 部下に注意する場合、上司の言い分が正しいことがほとんどです。しかし、内容が正しいからと言って、どんな言い方をして...
2020.03.16 新型コロナウイルス関連情報
2020年3月16日現在、新型コロナウイルスの影響で多種多様な業界で多大なる影響が出てきています。イベント関連の中止、原材料不足、子供の休校により出勤がままならない、急速なテレワークの推進等々。景気後退が懸念される中、最も大事なことはもちろん資金繰りを安定させることだと思います。そのために政府系金融機関の特別融資や保証協会のセーフティネット特別保証枠の活用等を検討されるケースもあるのではないでしょうか。また、雇用関係についても新設、既存助成金の拡充等、新型コロナウイルスに対応した助成金が公表されております。 下記、いくつか簡単にですが、ご紹介いたします。 (1) 雇用調整助成金の特例 事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業等を行い、労働者 の雇用の維持を図った場合に、休業手当等の一部を助成するものです。新型コロナウイルスの影響で休業等が発生した場合、特例措置があります。 休業手当の2/3が助成されます。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufuk...
2020.03.03 社会保険ワンポイントコラム
令和元年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019」の「第2章Society5.0時代にふさわしい仕組みづくり」に、 「1.成長戦略実行計画をはじめとする成長力の強化」 「(2)全世代型社会保障への改革」 「① 70歳までの就業機会確保」 という項目が定められています。 それによれば、「人生100年時代を迎え、高齢者の活躍の場を整備することが必要である。高齢者の雇用・就業機会を確保していくには、70歳までの就業機会の確保を図りつつ、高齢者の特性に応じた活躍のため、とり得る選択肢を広げる必要がある。このため、65歳から70歳までの就業機会確保については、多様な選択肢を法制度上整え、当該企業としては、どのような選択肢を用意するか、労使で話し合う仕組み、また、当該個人にどの選択肢を適用するか、企業が当該個人と相談し、選択ができるような仕組みを検討する。」(一部改変)としています。具体的な選択肢としては、 a)定年の廃止 b)70歳までの定年延長 c)70歳までの継続雇用制度(子会社・関連会社を含む) d)他の企業への再就職の実現 e)個人とのフリーランス契約への...
2020.02.01 社会保険ワンポイントコラム
本年4月から、働き方改革の一環で中小企業に対しても「時間外労働の上限規制」が行われる。そこで今回は、2カ月後に迫った中小企業への本規制について、基本的な仕組みを整理しよう。 時間外労働の上限が罰則付きで法律に明記 社員に対して時間外労働をさせられる時間数は、元来、労働基準法内に定めがなく、厚生労働大臣の限度基準告示に従って行政指導が行われていた。法律で定められた基準ではなかったため、罰則による強制力もなかった。 しかしながら、法改正により、労働基準法の中に新たに時間外労働の上限が定められた。そのため、この上限を遵守しなければ法律違反となり、違反行為に対しては6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が設けられている。 時間外は「月45時間、年360時間」が原則の上限 法律に定められた時間外労働の上限は、原則として「月45時間、年360時間」である。従って、企業は36協定を締結して所轄の労働基準監督署に届け出た上で、「月45時間、年360時間」という時間外労働の上限を遵守しなければならない。 実は、この上限時間は、従前の限度基準告示による時間数と同じである。つまり、こ...
2020.01.06 社会保険ワンポイントコラム
なかなか進まない男性の育児休業取得。同僚や上司から白い目で見られ、会社にいづらくなるのではないか。そもそも仕事が忙しすぎて、長期に休むなんて考えられない。ほんとうは取得したいのに、このように考えて、最初からあきらめてしまう、という人も多いようです。また、上司の側も「男が育児休業なんて!」という古い考えに縛られていることもあるでしょう。 実は、育休取得は、本人にも、会社にもメリットが大きいものなのです。まず、本人にとっては、次のようなことが考えられます。 A 自分の仕事を整理し、効率化できる B 妻との関係がよりよくなり、家庭が安定する C 妻が働いている場合、就労継続で経済的に大きなリターンがある そして、会社にとっても、このようなメリットがあります。 1. 対外的な企業イメージがアップする 社員とその家族を大切にする会社、という企業イメージは、人材確保に大きな好材料です。 2. 社員の帰属意識とモチベーションが向上する 「仕事と子育てを両立させたい」と考えている若い世代の男性が増えています。 その希望を積極的にかなえることで、社員の帰属意識とモ...
2019.12.01 社会保険ワンポイントコラム
インフルエンザは風邪とは異なり、突然の高熱や体の痛み、関節痛や筋肉痛も伴います。また、急激に症状が出てくることが多いようです。 インフルエンザと診断されたら 従業員がインフルエンザと確定診断をされた場合、自宅療養になると思います。 (厚生労働省によれば、インフルエンザは発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています) 少なくとも上記期間は自宅療養をしてもらったほうがいいでしょう。 自宅での療養期間についてですが、学校の児童については学校保健安全法(昭和33年法律第56号)により「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる「出席停止期間」としていますが、社会人についてはそのような定めはありません。 (学級閉鎖はあっても会社閉鎖はほとんど聞いたことがありませんよね) 休業の取り扱い 「就業禁止期間」はありませんので、あくまで欠勤扱いになります。もしくは本人が希望した場合は、年次有給休暇扱いになるでしょう。しかし、例えば本人が出勤を希望した場合にはどうすればいいでしょうか? 会社には「安全配慮義務」(従業員が職場で...
2019.11.01 社会保険ワンポイントコラム
今年も年末調整の時期が到来した。そこで、今回は年末調整の際に国民年金保険料控除証明書(以下、「控除証明書」)が提出された場合の留意点を整理してみよう。 保険料の金額に「見込額」が含まれている場合 控除証明書には、国民年金保険料を納めた額のほかに「見込額」が記載されているものがあり、社員が『給与所得者の保険料控除申告書』に「見込額」を含んだ金額を記載してくることがある。しかしながら、「見込額」は本年10月1日から同12月31日までに納付が見込まれる保険料額を示すものであり、控除証明書の作成時点では納付されていない金額になる。 従って、社員が「見込額」の記載のある控除証明書を添付し、その額を含めて控除を申請してきた場合には、念のために「見込額」を納めたかを確認するとよい。「見込額」を納めていないにもかかわらず、その額を含めて控除を申し出る誤りが少なくないからである。 控除証明書のほかに「領収証書」が添付されている場合 国民年金保険料を納めた時期によっては、その保険料が控除証明書に記載されていないことがある。控除証明書に記載のない保険料を納付している場合、日本年金機構ではその分の領...
2019.09.30 社会保険ワンポイントコラム
パワーハラスメント対策義務が公布となり、1年以内に施行されます パワーハラスメント対策が令和元年6月5日に改正法が公布され、1年以内に施行されます。事業主は職場でのパワーハラスメント防止対策措置を講ずることが義務となります。 ※ パワーハラスメントの措置義務については、中小企業は公布後3年以内の政令で定める日までの間は努力義務 (1)パワーハラスメント(以後、パワハラ)とは パワハラという言葉は日常的に使用されていますが、実際に職場でどのようなものがあたるのでしょうか。厚労省のHP「職場のパワーハラスメント」の記載では、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」とされています。 パワーハラスメントという言葉が、上司から部下へのいじめ・嫌がらせをさして使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます...
2019.09.01 社会保険ワンポイントコラム
9月は社会保険料を改定する時期です。算定基礎届によって決定された保険料は、その年の9月から翌年の8月まで使用します。 9月から保険料を変更するというとき、具体的には、何月分の給与から控除額を変更したらよいのでしょうか。 その答は・・・・・会社によって違います。 そんなの答になってない、とご不満の向きもあるかと思いますが、何月分の給与から何月分の保険料を引くかは、会社によって違うのです。つまり、会社が自由に(といっても、当然常識の範囲内ですが)決められるのですね。 9月分の保険料の納付日は、10月末日です。 ですから、基本的には9月分の保険料は、10月分の給与から控除している会社が多いはずです。これを、一般に「翌月引き」といいます。基本は「翌月引き」ですが、「当月引き」、つまり、9月分の保険料を9月分の給与から控除している会社もあります。また、「翌々月引き」、つまり、9月分の保険料を11月分の給与から控除している会社もあります。保険料の料率変更や、定時決定にもとづいて変更する場合は、多くの従業員の保険料をいっせいに変更するので、「毎年○月に行っている」ことを調べて、例年に合...
2019.08.01 社会保険ワンポイントコラム
令和2年4月より民法の大幅な改正が予定されています。 労務管理の視点でいえば、「労働契約の終了」、「賃金請求権の消滅時効」、「身元保証」などにおいて影響がありそうです。 今回は「賃金請求権の消滅時効」についてご紹介したいと思います。 ①民法の時効と労働基準法の時効 ・民法 現在、民法においては職業別の短期消滅時効制度により賃金請求権の時効は1年です。改正により、職業別の短期消滅時効制度が廃止され、時効は5年に統一される予定です。 ・労働基準法 賃金2年(退職金は5年)となっています。 ②労務管理の重要性 これまで、賃金についての消滅時効は民法で1年と定められていましたが、労働者の保護等の理由により、労働基準法で2年とされていました。これが法改正により民法で元来5年のものをあえて労働基準法で2年に短縮する必要はない、したがって賃金請求権も5年になるのではないか、とも言われております。 労務管理の点でいうと、賃金請求権≒未払い残業代請求権ともいえます。 未払い残業代がないことが最善ですが、万が一請求された場合には最大5年分の証明が必要になります。 また、その結果、未払い残業代が発覚...
2019.07.01 社会保険ワンポイントコラム
働き方改革により、長時間労働を是正し、労働生産性を向上させる取り組みが進められています。労働法制もそれを後押しし、2019年4月1日からは「年次有給休暇の5日間付与義務化」が施行されており、2020年4月1日からは「法定時間外・休日労働の上限規制」が施行予定(中小企業の場合)となっています。企業によっては、労働時間削減への取組を強化していかないと人材も確保できないなど、苦境に立たされることになります。 IT化や機械化によって業務効率がよくなれば、当然のように労働時間が短くなるはずだと考える人が大半でしょう。しかし過去に遡ってみると、職場にパソコンやコピー機がなかったような昭和50年頃から現在に至るまで、正社員の総労働時間は年間2000時間前後で推移しており変化がありません。手作業や力仕事が減って業務効率は大幅に向上したはずですが、なぜか労働時間は減っていません。昨今の働き方改革=IT化による業務効率、という取り組みも、労働時間削減の魔法の杖とはならない可能性が高いと考えた方がいいのかも知れません。 では、なぜ業務効率の向上を図っても労働時間の削減につながらないのでしょうか? ま...
2019.06.01 社会保険ワンポイントコラム
本年5月1日から元号が「令和」に変わった。それに伴い、社会保険関係の各種書類に関する元号表示が、現在、どのように運用されているのかを整理しよう。 「改元に伴う元号による年表示の取扱い」を策定 政府は本年4月1日に開催された関係省庁連絡会議で、公的機関が今後の事務の拠り所とする「改元に伴う元号による年表示の取扱い」を策定した。概要は次のとおりである。 (1)改元日前までに作成する文書 公的機関が改元日前までに作成して公にする文書は、改元日以降の年号は「平成」で表示する。改元後もその文書の表示は有効である。 (2)改元日以降に作成する文書 公的機関が改元日以降に文書を作成する場合、改元日以降の年号は「令和」で表示する。「平成」の表示が残る場合も有効とするが、必要に応じて手書きによる訂正等を行う。 国民が公的機関に改元日以降に文書を提出する場合、改元日以降の年号が「平成」で表示されていても、有効な書類として受領する。 「平成」の表示がある通知書が有効...
2019.05.07 社会保険ワンポイントコラム
平成31年4月1日より、働き方改革関連法が順次施行されています。 とりわけ中小企業において最も影響が大きいのは、有給休暇に関することではないでしょうか。日本の有給消化率は世界各国と比較しても、著しく低いと言われています。2016年に行われた28ヶ国を対象とした有給休暇の取得率に関する調査でも、日本は最下位となっています。休みを取らない(取れない)理由として、「緊急時のため」、「人手不足」、「休みをとりずらい雰囲気」といかにも日本的な理由が上位を占めています。また厚生労働省の発表によると、2017年の有給休暇の取得率は49.4%となっており、労働者の約半分が有給を取得していないです。ここ10年は50%を下回る水準で推移しています。 このような状況にもかかわらず、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。これまで有給休暇を消化できている企業においては、特に意識することもないかもしれません。ところが、体育会系のモーレツ企業にとっては、死活問題になりかねません。 徐々にではありますが、そのような風潮は変わ...