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2023.11.22 社会保険ワンポイントコラム
産業医を選任しているのに、職場巡視、安全衛生委員会の会議への出席、健康診断の就業判定程度をさせているだけになっていませんか?だとすればもったいない限りです。今回は産業医を十分使いこなすためのお話をいたします。 まずは「質のいい」産業医の見分け方 産業医の力量はそれぞれ違います。産業医になるためには日本医師会が行っている講習を50時間受ける必要がありますが、これだけでは十分な知識を身に着けているとは言えません。日本医師会認定産業医以外に、労働衛生コンサルタントや日本産業衛生学会専門医を持っている産業医はある程度産業医業務に通じています。 もちろんこういった資格を持ってない優秀な産業医も多数いますが、産業医を選ぶ際の目安として有効です。私見では、安価な産業医紹介会社で頼める産業医には、知識・経験が不足している、中には病院勤務の合間のアルバイト感覚の医師も散見されます。また、産業医にとって最も重要な学会は日本産業衛生学会です。ここに所属している医師は正面から産業医学に取り組んでいると言えます。 産業医はこんなことにも役に立ちます 真面目に産業医学を勉強・実践している産業医を選んだら...
2023.10.09 社会保険ワンポイントコラム
近年、従業員の満足度や採用競争力を高めるために福利厚生制度を見直す企業も増えています。株式会社マイナビの「2024年卒大学生活動実態調査(4月)」によれば、学生の間で福利厚生に対する関心が高まっており、その中でも福利厚生メニューの種類と利用実績についての関心が高いことが分かります。 カフェテリアプランは、このようなニーズに応えることができる制度として、企業が導入を検討すべき福利厚生制度と言えます。 カフェテリアプランとは カフェテリアプランは、企業が従業員に一定額のポイントを付与し(例えば、1人当たり30,000ポイント(3万円相当額))、そのポイント内で福利厚生メニューを自由に選択し利用できる制度です。 導入する際のポイント (1)予算の確保 カフェテリアプランを導入するための予算をどうするか。カフェテリアプランは、1人あたりのポイント数(何円相当額)をいくらにするかを検討して予算を確保します。その際、既存の福利厚生制度の見直しと合わせて検討します。例えば、既存の制度として社宅や住宅補助があるものの、対象者が一部の者に偏っているならば、廃止してその予算をカフェテリアプランに...
2023.10.02 社会保険ワンポイントコラム
ある夕ご飯の席のことだった。 「ばあちゃん。この二、三日ご飯ばっかりでおかずがないね」 俺がそう言うと、ばあちゃんはアハハハハ…と笑いながら、 「明日はご飯もないよ」と答えた。 俺とばあちゃんは、顔を見合わせると、また大笑いした。 これは2001年に発刊されベストセラーとなり、映画化もされた島田洋七 さんの「佐賀のがばいばあちゃん」のプロローグの部分です。のっぴきならない状況なのに、何という「幸せ感」でしょうか。島田洋七さんは、続けて 俺は子供の頃、母方のばあちゃんに預けられていた。 ばあちゃんは、明治三十三年(1900年)生まれ。 二十世紀とともに人生を生きた、まさにひと昔前の世代だ。 昭和十七年(1942年)、戦中に夫を亡くし、以来、厳しい戦後を佐賀大学とその附属小・中学校の掃除婦をして、五女二男、合計七人の子供を育てて生き抜いてきた。 俺がばあちゃんに預けられたのは、昭和三十三年(1...
2023.09.18 社会保険ワンポイントコラム
令和4年10月から「産後パパ育休」制度が施行され、厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業の取得率はおよそ17%と、過去最高になったそうです。また、政府は、「産後パパ育休」制度を利用した場合でも実質的に手取り収入を確保できるよう給付金の水準を休業前の賃金の80%程度に引き上げる方向で最終調整しています。 国を挙げて男女ともに育児に積極的に参加する環境整備が進められていますが、男性の育児休業取得促進のために会社及び男性社員自身はどのような準備が必要なのでしょうか。 1.「産後パパ育休」とは? 「産後パパ育休」とは、正式には「出生時育児休業」といい、従来の「育児休業」とは別に、子どもが生まれたときに取得できる育児休業です。出産する女性以外の男性(※養子を迎える場合は女性も対象になります。)が、子の出生後8週間以内に、最長4週間(28日)まで取得することができます。 従来の育児休業との違いは次の図のとおりです。 産後パパ育休 育児休業制度 対象期間 取得可能日数 子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能 原則子が1歳(最長2歳)...
2023.09.15 社会保険ワンポイントコラム
内閣府の「高齢化の推移と将来推計」によると、少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少しており、2021年には7,450万人、2050年には5,275万人に減少すると見込まれています。生産年齢人口の減少により、労働力の不足の深刻化が懸念されています。※1 今までは、男性、正社員、終身雇用、場所や時間制約のない社員で構成されていましたが、これからは、雇用形態や働き方の異なる社員が増え、時間・場所に制約があり、従来なら辞めていた社員も働ける環境にしていかなければなりません。 そのためには、正社員、アルバイト社員、パートタイム社員という働き方だけではなく、「多様な働き方」を認める必要があります。多様な働き方には、例えば、以下のような契約があります。「正社員」の中には、今までのフルタイム正社員の他に限定正社員や短時間正社員などに分けられます。例えば、時間の制約があって週40時間働けなくても、正社員と同等の業務を任せることができる人材には、短時間正社員として勤務していただくということです。 フルタイム正社員 1週間...
2023.08.18 社会保険ワンポイントコラム
障害のある方への『合理的配慮』の提供は、「サービス」を提供する場面でなく、「雇用」する場面でも必要な考え方です。 今回は、「サービス」「雇用」それぞれにおける『合理的配慮』の内容を整理し、両方の視点を大事にすることで『合理的配慮』の提供に大切なポイントを解説します。 障害のある方への「サービス」 まずは「サービス」の視点からです。 こちらの基本となる法律は「障害者差別解消法」です。 「障害者差別解消法」では、主に次の3つのことが定められています。 1.不当な差別的取扱いの禁止 企業や店舗などの事業者や国・都道府県・市町村などの行政機関等が、障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として差別することを禁止しています。 2.合理的配慮の提供 障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられた時に、負担が重すぎない範囲で対応するとしています。 3.環境の整備 行政機関等や事業者に対して、個別の場面において、個々の障害者に対する合理的配慮が的確に行えるよう、事前の改善措置として施設のバリアフリー化などに努めることを求めていま...
2023.08.14 社会保険ワンポイントコラム
企業は従業員の健康確保のため、健康診断を従業員へ受診させることが義務付けられています。受診させるべき健康診断の種類や対象者選定、健康診断実施後の対応等、正しく運用できているでしょうか。 そこで今回は、「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」実施時の基本のポイントを紹介します。 雇入時健康診断と定期健康診断 今回取り上げるのは「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」ですが、実は、法律で義務付けられているものには下記のとおりの種類があります。まずは自社でどれが該当するかをチェックしておきましょう。 出典:厚生労働省 雇入時の健康診断 従業員を雇入れるときに義務付けられている健康診断です。時期は明確に定められていませんが、雇入れの直前あるいは直後とされています。なお、雇入れ3か月以内のものであれば、前職や自身で受けた健康診断の結果でも代用可能です。ただし、各健康診断には必須項目が定められています。雇入時健康診断の項目が網羅されているかの確認は必ず行いましょう。 定期健康診断 年に1回の実施が義務付けられている健康診断です。法律上は「1年以内ごとに1回」と定められているだけですの...
2023.07.17 社会保険ワンポイントコラム
働き方改革に伴う副業・兼業の解禁により、他社でも厚生年金・健康保険に加入しながら働く社員が増えている。そこで今回は、複数の企業で社会保険に加入する社員の社会保険料額決定の仕組みを整理しよう。 他社の給料を合算して決める社会保険料 社会保険では、同時に複数の企業で厚生年金・健康保険に加入する勤務形態を二以上事業所勤務という。二以上事業所勤務をする社員の月々の給料にかかる社会保険料額は、他社でも加入中であることを踏まえて額が決定される。 保険料額を決める具体的な手順は、次のとおりである。 ① 各企業の給料額を合算する。 ② 合算した給料額に対応した標準報酬月額を求める。 ③ 求めた標準報酬月額に保険料率を乗じ、保険料額を算出する。 ④ 算出された保険料額を各社の給料額で按分し、企業ごとの保険料額を割り出す。 ① 給料額を合算する 厚生年金の保険料額を例にとり、具体例で考えてみよう。例えば、A社で社会保険に加入中の社員が、B社でも社会保険に加入して働くことになったとする。 この場合に合算する給料額は、食事を提供するなど現金以外で支給するものもあるケースでは、それらも金額換算して加...
2023.06.26 新型コロナウイルス関連情報
令和5年5月8日をもって新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症」から「五類感染症」となり、強制的な隔離や入院はできなくなり、受診するかしないかも各人の自由となりました。この状況下で会社はどのようなことについて考慮すべきでしょうか。(この文章は令和5年6月13日時点で手に入る情報をもとに書いています。) 五類になって流行が再燃 感染症法上の一類、二類は危険度の高い感染症で、行政による強制入院措置などがとられます。三類は特定の職業に集団発生する感染症、四類は動物や物などを通してヒトに感染する感染症です。今回指定された五類感染症は、国が発生動向を調査し公開することによって、国民一般の努力で蔓延を防ぐ感染症のことで、HIVや麻疹(はしか)、通常のインフルエンザなどが分類されています。新型コロナウイルス感染症はこの仲間になりました。 さて、五類感染症になってからの一か月に何が起きているでしょうか。まず明らかに流行が再燃しています。しかも検査が有料になったため受けないという人も多く、夏前にはかなりの流行になるのではないかと思われます。ただし、若い人に...
2023.06.13 社会保険ワンポイントコラム
キーエンスという会社をご存じでしょうか?現社名に変更されたのが1986年、その前身のリード電機が設立されたのは1974年ですから、来年50周年を迎える大手メーカーです。残念ながら、筆者が就職する頃は生まれ立てで社名を目にすることはありませんでした。 どんな会社かと言えば、センサー 技術を生かし工場を自動化するFA(ファクトリーオートメーション)が主な領域で、自動車や電子機器、機械、食品など、様々な分野の企業に商品を供給しています。いわゆるBtoBの会社で、なおかつ工場を持たない「ファブレス」企業でもあります。 現在9つの事業部があり、ここ10年間で売上高が4倍に伸びているそうです。また、海外売上高比率は約60%となっています。社員数も、最近10年間で2.5倍以上に増えて、グループ社員数は9,000人、単体社員数は2,600人となっています。一番すごいのは、ファブレスとはいえ、メーカーでありながら、売上高営業利益率が驚異の55%。業界平均5%の10倍以上なのです。そして、肝心の社員平均年収は何と2,000万円越えです。ちなみにトヨタ自動車は850万円です。天下のトヨタが霞んで...
2023.06.06 社会保険ワンポイントコラム
健康経営とは何か 健康経営とは、企業が社員等の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践することです。企業は労働安全衛生法等で定められている最低限の健康管理を行うことは必要ですが、本来、個人の心身の健康管理は社員本人が行うべきものです。 しかしながら、最低限を守るだけでなく、積極的に社員等への健康投資を行うことによって、社員の活力や生産性の向上、組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されているのが健康経営です。健康経営に積極的に取り組んでいる企業として、経済産業省が創設した健康経営優良法人認定制度による認定社数は、2023年3月時点で、大規模法人約2,600社、中小規模法人約14,000社となっています。 健康経営は社員を幸せにするのか 健康経営は、あくまで経営戦略です。そのため、企業の業績向上が最終目的となります。企業は経営資源を投下するため、投資効果をもたらさないといけないのです。その視点が抜けると、単なる福利厚生施策となってしまいます。 では、その企業の健康経営に参画する社員は、心身ともに幸せになれるのでしょうか。例えば、空気清浄機を事務所に設...
2023.05.15 社会保険ワンポイントコラム
育児・介護休業法には「育児休業」だけでなく、『子の看護休暇』『時間外労働の制限』『短時間勤務制度』なども定められています。しかしこれらの制度は、3歳に満たない子を養育する場合、もしくは小学校就学前の子を養育する場合となり、就学後については法令義務となっていません。今回は、小学校就学後の子を養育する場合に、会社としてどのような配慮ができるかを解説します。 現状「放課後児童健全育成事業」から 小学校就学後の子を養育する従業員への配慮についてお伝えする前に、まずは「放課後児童健全育成事業」を通じて、就学後のこどもを取り巻く現状をお伝えします。 「放課後児童健全育成事業」とは? 児童福祉法に基づき『保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るもの』として「放課後児童健全育成事業」があります。呼称は『放課後児童クラブ』『学童保育』などが一般的で、地域によって独自の呼称を付けていることころもあります。 今回は、厚生労働省「令和4年放課後児童健全育成事業(放課後児...
2023.05.12 社会保険ワンポイントコラム
女性社員から妊娠を告げられたときに、前例がなく、また、自身も経験がない場合はどうしたら良いか分からないかもしれません。 妊娠中は、体質・体調の著しい変化が起こり、身体にも大きな影響を与えます。個人差もあり、個別の対応を求められることもあります。 職場で初めて社員が妊娠した際に困らないように、会社としてどうサポートしていくかについて解説します。 1 妊娠中の社員のサポートについて 女性社員が妊娠した際、職場への報告は安定期に入ってからが多いようですが、体調や職種によってはそれよりも早い段階で妊娠の報告がある場合もあるようです。職種によっては、勤務の軽減等を求められるかもしれません。法律ではどのように定められているのでしょうか。 (1) 男女雇用機会均等法における母性健康管理措置や母性保護規定について 男女雇用機会均等法では、母性健康管理措置や母性保護規定について以下の定めがあります。 ア 保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保(法第12条関係) 事業主は、女性社員が妊産婦のための健康診査等を受診するために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。なお、義務...
2023.04.11 社会保険ワンポイントコラム
2022年4月、10月と、改正育児介護休業法が順次施行されました。男女問わず育児休業を取得しやすくなるよう数々の改正が入りましたが、その中でも育児休業取得の柔軟さを実現したのが「分割取得」です。分割取得を利用することで様々な取得パターンが実現でき、個々の考え方や生活スタイルに合わせた育児休業取得が可能になります。そこで今回は、夫婦の子育てを支援する育児休業の「分割取得」の制度を解説します。 育児休業の「分割取得」の概要 まずは育児休業そのもののルールをおさらいしておきましょう。現在、子どもが2歳になるまで、下図のように育児休業を取得できます。 これまでは1度職場復帰したら再度育児休業を取得することができませんでしたが、2022年10月よりこれらの育児休業の分割取得が可能となりました。同タイミングで新設された出生時育児休業も取得すれば、夫婦で育児休業を取得できるパターンは従来よりも多くなります。 では、それぞれの休業制度の分割のルールを紹介します。 産後パパ育休 育児休業 (上図「育児休業(1)」) 分割可能回数 2回まで 2回まで 会社に申し...
2023.04.03 社会保険ワンポイントコラム
今年は世界水準での競争力と成長力を得るための賃上げ実施のニュース等から、賃上げをどのようにしようかと検討されている経営者の方が増えているようです。 そこで今回は産労総合研究所の「2023年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」の結果をご紹介させていただきます。なお、この調査は、全国上場企業と過去に同調査に回答のあった同社会員企業から任意に抽出した3,000社を対象として2022年12月に実施されたもので、集計社数は233社となっています。 賃上げを実施するとした企業は8割 2023年の自社の賃上げ予定 「賃上げ(定期昇給を含む、以下同じ)を実施する予定」76.8%(前回調査70.3%) 「賃上げは実施せず、据え置く予定」1.7%(同2.6%) 「賃下げや賃金カットを考えている」0.4%(同0.5%) 「現時点ではわからない」20.2%(同25.6%) 企業規模別にみると、「賃上げを実施する予定」は大企業では71.2%、中堅企業では71.6%、中小企業では84.0%と、前回調査同様に大企業よりも、中堅、中小企業で回答が多くなっています。「現時点ではわからない」と態度を...
2023.03.15 社会保険ワンポイントコラム
リスク分担型企業年金という新しい企業年金制度をご存じだろうか。この制度は運用リスクが労使の一方のみに偏らないという特徴があり、現在、注目を浴びている。そこで今回は、リスク分担型企業年金の基本的な仕組みを見てみよう。 運用リスクを企業と社員がそれぞれ負担 リスク分担型企業年金は、「運用収益が予定どおりに得られない」などのリスクを企業と社員の双方が分担して負担する仕組みで、確定給付企業年金制度の一種として2017年1月1日に導入されている。 本制度では、将来発生するリスクを前もって見積もり、当該リスクの分担方法を労使間であらかじめ定めておく。企業側は、リスクに対応するための掛金を事前に拠出することにより、企業負担分のリスクを負うことになる。 一方、社員側は、企業が拠出した掛金ではカバーしきれないリスクが発生した場合に、年金額をマイナス調整することで社員負担分のリスクを負う、という仕組みである。 「追加の掛金負担」「退職給付債務の認識」が不要に リスク分担型企業年金の代表的なメリットは4点ある。1番目は、前述のとおり制度上のリスクの負担が、通常の確定給付企業年...
2023.03.09 社会保険ワンポイントコラム
新型コロナ感染症に振り回された3年間もようやく一段落してきたような空気が世間には漂っています。人々の関心は、新型コロナ感染症そのものから、その後遺症の問題に移りつつあるように見えます。新型コロナ感染症の後遺症は、英語では long COVID、あるいはPost COVID-19 Conditionなどと呼ばれています。 2021年10月にWHO(世界保健機関)は「long COVIDとは新型コロナ感染症罹患から3カ月以内に始まり、少なくとも2カ月間続く状態。一般的な症状は、疲労、息切れ、認知機能障害などであるが、これらに限定されるものではない。症状はまた時間の経過とともに変動したり、再発する可能性もある。」と定義しています。 どういった症状があるのか、またその発症のメカニズムや治療法などについても不明な部分が多い状況ですが、これまでにわかってきていることを整理します。 症状の特徴 long COVIDを発症する割合は報告により10~50%とばらつきがあります。 症状は多岐にわたり、またデルタ株、オミクロン株など、どの系統のコロナに罹患したかによっても違いがあ...
2023.02.09 社会保険ワンポイントコラム
2022年10月より改正施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」「育児休業の分割取得」などもあり『育児休業』への関心は高まっています。しかし、『育児休業』だけが「仕事」と「育児」の両立をサポートする制度ではありません。 今回は『育児休業』以外で、育児・介護休業法に定める代表的な5つの制度の概要、さらにその手続き・例外など制度を運用する上での留意点を解説します。 法律に定められている「育児に関わる制度」 (1)日単位(または時間単位)の休暇を付与する「子の看護休暇制度」 対象 「小学校就学の始期に達するまでの子」を養育する労働者です。 ただし、日々雇い入れられる者は除かれます。また、『勤続6か月未満の労働者』『週の所定労働日数が2日以下の労働者』などについては、労使協定を締結することで対象から外すことも可能です。 内容 1年度において5日(ただし対象児が2人以上の場合は10日)までの休暇が取得できます。時間単位での取得も可能です。 取得できる事由 「病気・けがをした子の看護」または「子への予防接種・健康診断」です。 (2)残業を免除する「所定外労働の...
2023.02.03 社会保険ワンポイントコラム
はじめに なかなか思うように採用ができないという企業の悩みはつきないが、「2005年卒〜2022年卒マイナビ学生就職モニター調査」によると、2005年卒の学生の就職サイトへの累計エントリー社数が約91社であるのに対し、2022年卒は約20社と激減している。 これは「まずはエントリーしてみよう」という就活生の動きが変化しているためである。大学3年生の春頃、就活準備開始時に、彼らは消費者の立場で元々知っている有名・大手企業を中心に就職を考え始める。学生の視野が広がるタイミングは、夏季インターンシップの応募が始まる頃であり、その辺りから業界研究、企業研究などを経て発見した企業へ興味を持ち始める。そして、ここで知った企業、インターンシップに参加した企業の中からエントリーする。現在、インターンシップは母集団形成の上で欠かせないものとなっている。 インターンシップ実施企業は、「マイナビ2022年卒企業新卒採用活動調査」によると、2016年卒は30%程度だったが、2022年卒に関しては約74%と大幅に増えている。また、学生のインターンシップ参加率は、2016年卒は58.2%だったのに対し、...
2023.01.16 社会保険ワンポイントコラム
近年の晩婚化等を背景に、不妊治療を受ける夫婦は増加しており、公益社団法人日本産科婦人科学会の2019年調査(ARTデータブック)によると、日本では14人に1人が生殖補助医療により誕生しているようです。出生数の低下や、治療に多額の費用がかかることから、不妊治療の保険適用も議論されておりましたが、2022年4月から保険適用されることになりました。 また、2021年2月に次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づく行動計画策定指針が改正され、一般事業主行動計画に盛り込むことが望ましい事項として「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」が追加、2021年4月より適用され、従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。働きながら治療を受ける人も増加しており、会社としても理解や対応が必要となります。 今回は、不妊治療と仕事の両立の現状と、会社としての取組について解説します。 不妊治療と仕事の両立について 「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないことをいいます。公益社団法人日本産...