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2022(令和4)年7月に女性活躍推進法の厚生労働省令が改正され、労働者が301人以上の企業に対して、男女の賃金の差異の情報の公表が新たに義務づけられました。今回は女性の活躍に関する情報公表項目に追加された「男女の賃金の差異」について、算出方法や情報公共についてご説明させていただきます。
男女の賃金差異は、男性の賃金に対して、女性の賃金の割合を%で示します。そして、全ての労働者・正規労働者・非正規労働者の3区分に分けた公表が必要です。算出手順は次の流れになります。
| 女性 | 男性 | |
|---|---|---|
| 正規労働者 | 女性・正規 | 男性・正規 |
| 非正規労働者 | 女性・非正規 | 男性・非正規 |
4種類に分類した区分ごとに、それぞれの総賃金と人員数を算出します。総賃金とは、賃金、賞与、手当など、労働の対象として使用者が労働者に支払う全てのものをいい、退職手当や通勤手当等はそれぞれ賃金から除外して計算しますので、源泉徴収簿を用いて総賃金を算出することをお勧めします。
4種類に分類した区分ごとに、算出した総賃金と人員数をもとに、平均年間賃金を算出します。また、すべての労働者の年間平均賃金も男女別に算出します。
労働者の区分ごとに男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を算出し、公表します。
| 男女の賃金の差異 (男性の賃金に対する女性の賃金の割合 |
|
|---|---|
| 全労働者 | XX.X% |
| 正社員 | YY.Y% |
| パート・有期社員 | ZZ.Z% |
女性活躍推進の観点から、女性の新卒採用を強化したことで、前年度と比べて相対的に賃金水準の低い女性労働者が増えたために、賃金格差が広がった。
「男女の賃金の差異」の数値だけでは伝えきれない自社の実情を正しく理解してもらうために『説明欄』を有効活用しましょう。また、単年度だと変化がわかりにくい場合は、複数年度のデータを掲載することも可能です。
特定社会保険労務士 出口裕美
2004年に社会保険労務士事務所を開業。出産を機に、育児と仕事の両立のためテレワーク(在宅勤務)を開始。2014年に社会保険労務士法人出口事務所に法人化。2017年にテレワーク(サテライトオフィス勤務)を開始。2020年に新型コロナウイルスの取り組みの様子をメディアにて紹介。
経営者と社員が継続的に安心して働ける環境を構築するため、インターンシップ、ダイバーシティ(雇用の多様化)、テレワーク、業務管理システム等を積極的に導入し、また企業への導入支援コンサルタントとしても活動中。