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掲載日 : 2022.09.20 / 最終更新日 : 2025.05.08
IT・ガジェット情報

独立すると、営業活動・ビジネスパートナー探し・資金調達などでご自身のビジネスをプレゼンする場面があります。人によってはセミナーに登壇して人前でプレゼンする機会もあることでしょう。
このシリーズでは、ロジカルで美しいプレゼン資料の作成技術を、全7回にわたって解説します。
第3回までに「ロジカル」で「美しい」プレゼン資料作りを解説し、第4回ではパワーポイントの時短ワザを取り上げました。今回はパワーポイントの使い方にもう一歩踏み込んで、図解の技術を取り上げます。
下図「資料1」「資料2」をご覧ください。この2つの資料、見た目は違いますが内容はほぼ同じです。極端な例ですが、図解ができないと「資料1」のような資料を作ることになります。
「資料1」でプレゼンした場合、このように文字の多い資料をきちんと読んで理解してくれる人は少ないでしょう。一方、「資料2」でプレゼンした場合は、多くの人が理解し納得してくれることでしょう。説得力あるプレゼン資料を作るには、図解の技術が必須です。

図解には無数のバリエーションがあり、世の中には数多くの図解ノウハウ本が溢れています。どこまでマスターすれば良いのでしょうか。
図解が求められるのは、文字や口頭で表現しにくいことを説明するときです。一般的なビジネスシーンにおいて文字や口頭で表現しにくいことには、次の6つのことが挙げられます。
したがって、一般的なビジネスシーンのプレゼンではこの6つのことを図解できれば充分でしょう。6つのことを図解するのに適した図は以下の通りです。

数値の「違い」を伝えたい時は、棒グラフを使います。
例えば下図のように、4社の中で売上トップの会社がダントツであることを伝えたいとします。この場合、左側の表だけで伝わるでしょうか。数字を細かく読んでくれる人は少ないですから、表だけでは伝わりにくいですね。右側のような棒グラフにして図解しましょう。

棒グラフにすると、表だけでは伝わりにくい「トップのA社はB社の約2倍の売上を誇る」ということが、簡単に伝わります。
数値の「変化(推移)」を伝えたい時は、折れ線グラフを使います。
例えば下図のように、季節による売上の変化を伝えたいとします。この場合、左側の表だけで伝わるでしょうか。表には細かくて大きな数字が12個も並んでいて、数字だけで変化を読み取ることは大変です。右側のような折れ線グラフにして図解しましょう。

折れ線グラフにすると、表だけでは伝わりにくい「当社の繁忙期は春と秋」ということが、簡単に伝わります。
数値の「割合」を伝えたい時は、円グラフを使います。
例えば下図のように、どの製品が売上の多くを占めるのかを伝えたいとします。この場合、左側の表だけで伝わるでしょうか。表の数字を見せればどの製品が上位かといった程度のことは伝わるかもしれませんが、それが占める割合までは伝わりません。右側のような円グラフにして図解しましょう。

円グラフにすると、表だけでは伝わりにくい「部品AとBで売上の半分を占める」ということが、簡単に伝わります。
2つの数値の「関係(相関)」を伝えたい時は、散布図を使います。散布図も他のグラフと同じようにエクセルで作成することができます。
例えば下図のように、支店の業績と社員の定着率の関係を伝えたいとします。この場合、左側の表に並ぶ数字からその関係を見出すのは無理があります。右側のような散布図にして図解しましょう。

散布図にすると、表だけでは伝わりにくい「社員が定着している支店は業績が良い」ということが、簡単に伝わります。
概念の「構成や構造」を伝えたい時は、構成図を使います。構成図とは、主に階層構造を図解したもので、その形状に厳密な定義はありません。
例えば下図のように、組織の構成や、ある仕事を納品するまでのタスクの構造を伝えたいとします。この場合、文字だけで正しく伝えるのは困難ですが、図解すれば視覚的に理解してもらいやすくなります。

概念の「順序(流れ)」を伝えたい時は、フロー図を使います。フロー図とは、前後関係を説明するための図で、その形状に厳密な定義はありません。
例えば下図のように、仕事を進める順序を伝えたいとします。この場合、文字だけで複雑な前後関係を伝えるのは困難ですが、図解すれば視覚的に理解してもらいやすくなります。

以上、今回はパワーポイントの使い方に一歩踏み込み、図解の技術を取り上げました。次回はもうひとつの応用編として、プレゼンにおけるアニメーション機能の活用法を取り上げます。
説得力あるプレゼン資料を作るには、図解の技術が必須。
特に、文字や口頭で表現しにくい以下のことを伝えるときは、図解しましょう。
経営コンサルタント 古市今日子
株式会社 理 代表取締役
経済産業大臣登録 中小企業診断士
外資コンサルティングファームなどで16年間経営支援の経験を積
事業再生に携わるほか、自治体の経営相談員や創業支援施設の経営
中小事業者・起業希望者の経営相談への対応件数は年間約200件