MENU
掲載日 : 2019.12.01 / 最終更新日 : 2025.05.07
税務ニュース

前回の記事で、銀行は金融庁から事業性評価融資の推進を求められていることに触れました。また、企業評価手法には定量的と定性的な評価が織り交ぜられ、数字に表しにくい定性的なものとしてビジネスモデルやノウハウ等があり、銀行員に目利き能力が必要であることも述べました。
事業性評価融資が求められる今後において、企業としては数字に表しにくい定性的な事柄にも注意を払っておく必要があるといえるでしょう。
「企業は人なり」という有名な言葉がある通り、銀行の融資取引(特に中小企業の場合)において、「法人取引=社長との取引」という認識を避けることはできません。
何よりも「社長の信用が一番」と言っても過言ではありません。
こう書くと社長としては、銀行員に何を見られているのか、気が気じゃないかもしれません。
そこで今回は定性的な事柄である「銀行員が社長を見る目はどういうところなのか」を箇条書きで記します。
(聞き取り調査の対象は、地域の同業者,商工会や法人会など地域のことをよく知る人)
このような聞き取り調査では、書類から把握できないこと、社長からは直に聞き出せないことが、聞き出せる場合があります。悪い噂話もありますが、良い話も多いものです。
銀行員が影でこんなことをしていると知れば、嫌悪感を抱く方もいるかも知れません。しかし、人は誰しも自分のことを話す場合、謙遜したり、照れくさかったりします。言いたくないことや恥ずかしいこともあります。ゆえに第三者を介した側面調査をしてこそ、その人物像をより詳しく把握できるのです。
多面的な調査から、銀行では社長を数段階で評価しています。
これまでのところ、社長評価が著しく低い場合を除いて、融資判断に大きく影響するようなことはありません。(ちなみに、経理担当者など銀行と交渉を担う人も同様の評価をされ、社長評価に加味されていると考えてください。)
社長を知ることは会社をより深く知ることであり、経営計画や設備計画等の把握や理解に少なからず影響します。
社長・企業を深く把握していれば、条件交渉や融資判断のスピードが速くなるのはご理解いただけるのではないでしょうか?
今後、事業性評価融資の評価手法によっては、社長評価が金利設定や返済条件等に影響する可能性は十分にあると想像されます。
銀行の融資担当者としては、社長との付き合いの中で、常日頃から上記の事柄をさりげなく把握していたり、気になることがあればメモしたり、調べたりしています。
銀行員が多面的に社長を見るのは仕事柄欠かせないことなので、「何か対策をしなければ…」と不安に思ったり、身構えたりする必要はありません。
不自然な言動こそ「要らぬ詮索」をさせかねません。銀行員とは人間同士の真摯な付き合いを常にしていれば良いだけです。
環境変化が激しく速い時代であるため、会社・製品サービスを良くしたいと願い、社会・業界や顧客ニーズの変化に合わせ、経営戦略・戦術を練り行動していくこと、広く学び吸収し柔軟に対応していく姿勢を社長が持ち続けられることが重要だと筆者は考えています。
[myphp file=writer015]